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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年9月15日
  • 読了時間: 3分

 創価学会のシナノ企画みたいに統一協会のワンウエイプロがある。

 近頃の自民党を中心とした政党では「統一協会とは知らなかった」が流行りみたいだが、同じようにワンウエイプロを統一協会とは知らなかったという芸能人がいて、こちらは少なくとも政治家たちよりも本当のことを言っている感じがする。


 映画『仁川』に出演した俳優たちは、後から統一協会の製作会社だと知って騒いだ。

 ここでマッカーサーにふんするローレンスオリビエは、撮影の途中で出演料を日払いにしろと言い出したらしい。不安になったのだろう。製作費が霊感商法で稼いだものではないかとも言われた。

 そんな映画に協力するなと山田洋二が批判し、黒澤明も同調した。日本側の製作者は創価学会の『人間革命』と同じ感覚だったらしい。知らずに出演してしまった三船敏郎はキャリアが傷ついたとも言われていた。監督したテレンスヤング(007シリーズなど)も同様であった。音楽は『ミッドウェー』のジョンウイリアムズの予定だったが『トラトラトラ』のジェリーゴールドスミスに交代し、内容に共感できないので製作費で音楽の実験をしたと言っていたそうだ。


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 映画の最初、金日成がスターリンに頼んで戦車を貸してもらったとナレーションが説明する。

 それで気が大きくなって韓国を攻撃したということだけど、南から北を挑発している間に軍事産業関連の株が買われていたし、この特需のおかげで日本は戦後の復興が出来たのだから、あれは金儲けのための戦争だったのだと言われてきた。

 それより映画で可笑しいのは、ナレーションの説明に続いて登場する朝鮮軍の国旗を掲げた戦車部隊は、やけに新型であるうえ米国製である。まさに、見て「ド頭でズッコケ」る。

しかもマッカーサーは英雄として描かれているが、一人でいるとき神に祈り「おかげさまで戦争に勝てました」なんて言っている。その神とは統一協会の崇めるものである。もしもマッカーサーがこの映画を観たら怒ってしまうだろう。


 『グリーンベレー』と同じ脚本家であった。

 このロビンムーアはどこまで真面目にやっていたのかわからないが、ベトナム戦争戦意高揚プロパガンダ映画として作られた『グリーンベレー』も「おバカ映画」と言われた。スタンリーキューブリック監督の『フルメタルジャケット』の原作では、ベトナム戦争の米軍駐屯地で『グリーンベレー』が上演される場面がある。スタートレックの日系人俳優が南ベトナム軍将校にふんし「行け―、ベトコンを倒せ―」なんて叫んでいたり、ジョンウエインふんする主人公の隊長が海に夕日の沈む(米軍が展開していたベトナムに、海に日没する場所は無い)のを見ながら「勝利まで戦うぞ」とクサい調子で言ったりするから、観ていた米兵たちは抱腹絶倒で椅子から転げ落ちそうになっていた。


 この手の映画は、だいたい可笑しなものになる宿命だろう。


 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年9月1日
  • 読了時間: 3分

 過日、大岡昇平が原作の映画『野火』について新旧の比較をしながら述べた。

 大岡昇平が原作の映画といえば『明日への遺言』もある。これは事実に基づいた戦後の法定ものである。原作の題名は『ながい旅』

 最初、米軍機の空爆は吉祥寺にある中島飛行機の航空機工事が標的にされていた。軍用機のエンジンを製造していたからだ。ちなみに中島飛行機の経営をする中島家の人々は、のちに映画製作をしたり政界進出したり、アメリカのハワード-ヒューズみたいであった。


 ところが、司令官があのルメイに代わる。

 すると目標を軍事施設に絞らない無差別爆撃をするようになっただけでなく、一般人が逃げられないように追い詰めるやり方になった。その当時すでに、あくまで空爆は軍事施設を狙うのが国際的な約束だった。

 だが、英独は無視して都市を攻撃し、日本も同じであった。それで米国も同調したのだが、しかし都市を攻撃するにしても戦争を諦めさせる圧力のためで、その結果として民間人が巻き込まれ殺傷されていたけれど、ルメイは非戦闘員の殺傷そのものを目的にした空爆をしたのだ。


 撃墜された米軍機もあり、脱出してパラシュート降下した乗組員が捕らえられた。

 爆撃で多大な被害があり、無残な犠牲者が大勢いたことで、その怒りから捕らえられた乗組員たちは殺された。無抵抗の捕虜を虐殺した疑いで戦後に裁判となる。

 ここで被告となった若い兵士は、怒りにかられてのこととはいえ残酷なことをしたと苦悩し、これに対し指揮官は、自分の命令であったのだから責任は自分にあると慰める。


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 ここで、アメリカ人の法学博士が弁護人を務める。

 これを知った当初の被告側は、アメリカ人がちゃんと弁護してくれるのかと危惧したが、この博士はとても公正で、証人へ質問するさい米軍機が爆撃した場所に軍事関連施設はあったかと確認し、無かった確証を得ると、それなのに爆撃したのだから先に違反したのは米軍機であり、被告らは戦闘状態が続いた中で乗組員を殺害(無差別爆撃はハーグ条約違反として略式で処刑した)のであるから捕虜の虐殺とは違うと立証する。

 そのとおりだが、しかし米軍の戦争犯罪を裁くことになると言って米軍側の検察官が猛反発する。それでも博士は、被告らの有罪無罪を決めるのに必要不可欠であると譲らず、これを米軍の裁判官も認める。


 ただ、被告らの有罪が揺るぐかは微妙である。

 それで司令官は、若い部下たちが自分の指揮下にあったと強調する。これでは司令官が死刑となってしまうが、すべての責任を背負う覚悟である。これに裁判官も検察官も同情を禁じ得ない態度を見せる。


 まだ話は続くが、興味がある人は映画を観るとよい。

 それにしても、米国の法学博士が自国贔屓せず公正な弁護をする姿は立派で、これは本当のことだったが、しかもその主張を米軍も認めていて、つまりルメイのやり方に批判的だった人たちが米軍にもいた、ということでもある。

 そんなルメイに日本は勲章を贈った。戦後、航空自衛隊に協力したからという名目で。あの空爆の大勢の悲惨な被害者たちを想えば到底できないことだが、そんなことをしたのは周知のように小泉防衛庁長官である。


 その息子の小泉純一郎首相は、日本の富を米国に渡したり、デタラメなイラク戦争を支持したり。

 これを誤魔化すために靖国神社参拝している。それで八月十五日に靖国神社へ参拝に来た人が「騙されてはいけない」と言っているのが記録映画にあったことは過日の話題に出したとおり。

 そんな「売国が家業」ともいうべき小泉家が、さらに次の代まで政治家を続けているけれど、ほんとうに恥ずかしいことである。

 
 
 

更新日:2022年8月31日


 邦画の中の役で、米国から来た法学博士が出てきた。

 この映画そのものは明日の言及とするが、この博士が日本に来てから冬になり雪景色を珍しいものとして観ている場面があった。カリフォルニアでは雪が降らないからだと言う。


 雨が降らないから雪も降らない。

 また、ロサンゼルスには「昼と夜しかない」と言われる。天候だけでなく四季の変化も無いからだ。それが映画の撮影には便利なのでハリウッドが出来たわけだ。


 その映画で、カリフォルニアと違い雪が降っているのは横浜の場面だった。

 映画音楽の巨匠ジェリーゴールドスミスが映画音楽のコンサートのため来日し、みなとみらいホールで開催、演奏は神奈川フィルが担当、という時に気温からして寒くもない日だったけれど、ジェリーゴールドスミスは外が寒いと言っていた。

 これは、彼がロサンゼルスの出身で、ビバリーヒルズに住んでいるため、寒さに不慣れだったからではないかと思っている。


 そのさい頼み込んで撮らせてもらった思い出の写真が、これである。

 手つきと背筋など寒そうにしている。後ろにいるのはホールの職員。

 

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