- 井上靜

- 2023年3月27日
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「シン」の仮面ライダー映画ができた。
この『仮面ライダー』の素は言うまでもなく『月光仮面』である。その作者の川内康範は国士を気取っていたので、国の為に考えたという。
それは、当時テレビ放送の黎明期で、技術的な限界からドラマは生放送が主流となり、どうしても寸劇しかできず、フィルムで撮影した本格的なテレビドラマはアメリカから輸入していて、これを買うために貴重な外貨とくに当時圧倒的に強かった米ドルを使うのは日本の経済に悪影響だから、戦後の復興のため少しでも有益となるよう、テレビドラマは日本で自前のものを作ろう、ということだ。
ただしテレビの連続ドラマは製作費が乏しい。
そこで、面白くするなら奇抜なアイデアでやろう、ということでオートバイに乗って「疾風のように現れ」覆面で顔を見せない正義の味方『月光仮面』を考案した。
これと同じ発想の『仮面ライダー』は、オートバイと仮面だけでなく低予算であることも共通していた。だから、最初から入場料を取って興業する映画として製作するのは土台無理なのだが、だけど観て育った人たちの思い入れなのだろう。

アメリカでもテレビ初期に低予算奇抜ドラマは放送された。
例えば『トワイライトゾーン』(日本での放送では『ミステリーゾーン』)である。これも、80年代になって、やはり子供のころに観て育ったスピルバーグ監督たちの思い入れにより、本格ハリウッド映画になっている。
しかし、そうしたら金かけすぎで不自然と言われた。ただし素のドラマから参加していた作曲家ゴールドスミスは解っていて、製作費は潤沢なのに小編成で演奏する音楽にしていた。
そういうことだから、思い入れに付き合いたい人なら付き合えばいい。


