- 井上靜

- 2023年4月14日
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フィンランドのアキ-カウリスマキ監督の『希望のかなた』に難民問題が描かれている。
いま日本の政府が難民に対して冷淡なだけでなく、外国人の研修生に非人道的な扱いをして非難されても日本の政府は無反省である。それとは違いフィンランドは人権に配慮している国であると誤解している人が日本には少なくない。
それが『希望のかなた』でも告発されていた。主人公が博打で得た金をつぎこんで寿司屋を経営しはじめ変な日本料理店にしてしまい失敗するのは笑えるが、話の中心はシリア内戦の難民問題であり笑ってはいられない話だ。

シリアの内戦で家族を失った男性が、たまたまフィンランドの首都ヘルシンキに流れ着く。
その国際的な評判からフィンランドは優しい国かと思ったら実態は大違い。家族を殺したのが政府側か叛乱側なのかダーイッシュ(イスラム国)なのかは不明だが、命からがら脱出したと言って難民申請するが、あっさりと却下されてしまう。
フィンランドのテレビはシリアの内戦について報じるさい、支援を要請されたロシア軍が大型兵器を使用したので被害が拡大していると非難していた。ところが役所では、差し迫った危険などシリアに無いから帰ればいいので難民とは認めないと言われる。
マスメディアが嘘を放送しているのか。そうでなければ面倒臭いから受け容れたくないだけということになる。どちらにしてもひどい話である。
しかも排外主義者たちが暴力をふるっている。
まったくネオナチとしか言いようがない恰好をしてガラの悪い人相と態度である。難民申請を却下されたシリア人を見て、外国から来た邪魔者だからと集団で襲い掛かる。
このカウリスマキ監督はイギリスのケン-ローチ監督と親交があってスタンスが合うらしい。それで社会派の内容になるが、一方ギリシア出身でフランスさらにハリウッドで活躍してきた社会派コスタカブラス監督が得意なポリティカルサスペンスではなく、ほのぼのとした調子で社会の弱者に目向けることで、カウリスマキとローチは共通している。
とにかく、難民などで日本がいくら酷いからといっても、外国を美化しては駄目だということだろう。






