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『シン・ゴジラ』は老人食という指摘について

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2023年3月28日
  • 読了時間: 2分

 ゴジラや仮面ライダーの「シン~」の映画は老人食という指摘がある。

 高齢者の弱った歯に合うようグズグズに煮込んで出す食事のようなもので、食べ慣れたものしか受け付けない世代に合わせているような作りだからだ。


 これは30年以上前の『ゴジラVSキングギドラ』の当時、既に言われていた。

 昔からのファンは「久しぶりに音楽が伊福部昭」と喜んだけど、初めて見た若い人たちは「なんで現代の話なのに音楽は古臭い時代劇ふうなのか」と言っていた。

 さらに『シン・ゴジラ』では伊福部昭の音楽を古い音源から流用していて、しかも演奏失敗部分に効果音を被せていない。

 これはノスタルジーの作品だから、一般的な感覚では不可解ということだ。プロレスを見慣れた人にとっては、ロープに投げられたら、ここは16文キック、ここはラリア―ト、というのと同じなのだ。


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 また、そうしたゴジラ映画では嘘が描かれている。

 『ゴジラ』一作目で、核実験の影響について隠蔽を主張する与党ないし与党でなくても保守系らしい議員に猛反発する野党らしい女性議員が描かれているけれど、そういう描写は『シン・ゴジラ』には無い。

 後の『三大怪獣地球最大の決戦』では、対策会議で自衛隊の幹部が責任逃れでのらりくらり答弁するから議員が怒る場面がある。自衛隊は下っ端が真面で上層部は保身ばかりが実態だと、元自衛官の話でも自分が会った人からの認識でも共通しているし、そうなる構造があるのだ。

 ところが『シン・ゴジラ』で政府も官僚も自衛隊も噓の描写で徹底的に美化されているわけだ。


 かつてアニメの第一線で活躍する安彦良和が指摘していた。

 それは、アニメ映画のリアリズム追及で、もっとも世俗的で陳腐な認識に基づいているだけなのをリアリティと取り違えてシリアスになったと勘違いした作り手の問題だった。

 このことが、アニメ出身だけどCGの御陰で実写と特撮の映画に進出した人にもあてはまるのではないか。


 しかし、老人でも食べられる馴染みの食事ということで、口に合う人がいるのなら仕方ないだろう。

 そして、お父さんにお付き合いの子供は、親孝行で合わせて見せる。



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