『ひまわり』『ドクトルジバゴ』『風と共に去りぬ』
- 井上靜

- 2023年3月29日
- 読了時間: 3分
更新日:2023年3月29日
『ひまわり』が、去年、再上映された。
ウクライナでロケしたことも時勢から話題である。地理学に出て来るが、ひまわり畑の黒い土が映像にハッキリ映っている。戦争で行方不明になった夫を探しに行くヒロインは「スターリンが死んで政治が変わったと言われている」から探しに行けると、劇中で言う。演じたソフィア-ローレンはムッソリーニと親戚である。

『ドクトルジバゴ』のラーラはソフィア-ローレンが候補だった。
ところが、製作者はローレンで決まりだと思っていたけれど、監督のデビッド-リーンが反対した。ローレンは長身で大柄だからイメージに合わないと言って。リーンとしてはラーラは小柄な女性のイメージだった。
この『ドクトルジバゴ』は公開当時ヒットしたけれど批評家から「壮大なソープオペラ(昼メロドラマ)だと酷評されてもいた。

『ドクトルジバゴ』は『風と共に去りぬ』と内容が同じだ。
内乱の中でロマンスや三角関係があり、スカーレットがラーラで、バトラーがコマロフスキー(映画ではロッド-スタイガー)である。ただ、ラーラは貞操を奪ったコマロフスキーを銃撃して負傷させるが。
スカーレットは北軍の脱走兵を射殺する。この場面で、今は知らないが少し前まで米国南部の映画館で上映されているさい観客席から拍手喝采なので、観光客など外国人はビックリしたそうだ。そして、だから『イージーライダー』のようなことになるのかと納得する。

『ドクトルジバゴ』の原作はノーベル文学賞に選ばれる。
だが、授賞式に行ったきり締め出されて追放になりそうだと恐れたパステルナークは辞退した。革命の綺麗ごとでない部分もあって、そんな悪く描いてはいないけれど当時の事情から神経質だった当局が、しかも自分の体験に基づく不倫と共に描いたのでケシカランということだった。
それで発表できず、それでイタリアで出版と映画化(脚本・監督は『アラビアのロレンス』と同じでイギリス人だが)であった。
ということで、明らかにノーベル賞は冷戦時代の当てつけだった。そうでもないと選ばれるはずがないハーレクイン小説である。

グルジアはジョージアと英語読みにしている。
だから米国のジョージア州と紛らわしいが、ロシアから離れたいという人たちの意図だった。
スターリンはグルジアの出身だった。内ゲバで敗れたトロツキーはウクライナの出身である。ロシアではなくても「♪Интернационал(インターナショナル)~」だから良いのだ。
かつてソビエト連邦の時は、そのやり方がどうかは別にして、総てそれぞれの民族と共和国と自治区の一つということだったけれど、ロシア連邦になり独立した所もあって、そこで多数派と少数派が出来たことが、今もめている原因だ。




原作は政治的な背景も深く描かれており、メロドラマなのは映画だけです
受賞に値しない程ではなかったのでは…?
(まあ、"あてつけ"に関してはあり得そうな事とも思いますが)