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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2024年6月28日
  • 読了時間: 2分

 ちょっと余談だが、前にしたOVAの話について。

 同級生がOVAを色々と持っていた。この人は他にも漫画を大量に買って所持していた。それで、引っ越しの時に頼まれて預かっていた。なぜなら、彼の父親に見られたら叱られるからだった。こちらは大学生だったが、彼は二浪していて、それなのにアニメ映画のビデオと漫画の本を大量に所持しているのを父親に知られたら、これだから入試に受からないのだと言われそうだったからだ。


 それで預かっている間に観たり読んだりして良いということだった。

 そこで観たOVAに、前に話題とした『メガゾーン23』などがあった。これを思い出したのはAI小池百合子がきっかけだったが、アラビア語を喋らせるまではできなかったようだ。しかし『メガゾーン23』ではAIのアイドル歌手が世論操作に利用されていた。戦争が勃発し反対の声もあがるが、AIアイドルのアジテーションに大勢の若者たちが乗せられて志願してしまう場面があった。

 この場面は風刺が効いていて面白いと思ったが、ビデオの持ち主である同級生は観ていて何も感じなかった。この人はまさにAIアイドルのアジテーションに乗せられる人だなと確信したものだった。


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 他には『プロジェクトA子』とか『ガルフォース』とか。

 彼は『プロジェクトA子』は抱腹絶倒だと言っていたが、そこまで面白いとは思わなかった。『ガルフォース』では主題歌を当時は新人だった小比類巻かほるが唄っていて、それを聴いて「この歌手は良いんじゃないか」と思ったけれど、彼は無関心だった。

 そのあと最近また話題の『シティーハンター』がテレビの連続アニメになった時、主題歌を小比類巻かほるが唄っていた。気に入って他の歌もCDで聴いていた。


 このように、同じ映画を観ても関心を持つところが全然違うことがあるということを。その預かったOVAがきっかけで思い知らされたのだった。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2024年6月20日
  • 読了時間: 2分

更新日:2024年7月7日

 ニコラスニキという外人が指摘した。

 この人は、日本におけるサラリーマンの過労という問題について述べていたさい「日本のアニメは何故ガキやティーンばかり描くのだろうと思っていたけれど、理由はこれだろ。日本では高校出たら世界はこの世の地獄になる。だから彼らが垣間見た最後の夢はガキのころなんだよ」

 このようにガイジンから見抜かれていると話題になっていた。

 

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 ただ、この指摘は日本でもアニメ関係者からあった。

 それが他でもない『宇宙戦艦ヤマト』の西崎義展プロデューサーである。そして『宇宙戦艦ヤマト』に描かれるガキまたはティーンのナショナリズム・ミリタリズムがウケたのだ。

 また『宇宙戦艦ヤマト』動画担当の勝間田具治も「せめて夏休みの二時間だけでも」と言っていた。

 

 これは拙書『宇宙戦艦ヤマト…』でも言及した。ホームページ参照 https://joesuzuki3.wixsite.com/website

 だが、その社会学的には常識であることを知らず、高校を出る前くらいの時期は楽しかったという程度の自覚しかない人たちもいる。前にネット上で、拙書を読んだ(女性らしい)人が、あの時代をそんなふうに言うことには共感できない、と述べていたが、これはエンターテインメントによって気を紛らわせていたに過ぎないのに良い時代だったと思っているのだろう。

 

 これを証明してくれたのは自民党である。

 これだから、18歳で選挙に投票できるようにしたのだ。まだ「この世の地獄」を知らないうちなら投票結果が政権与党にとって有利となるから。実際に、親の庇護を受けていて未だ社会に出て身を以て現実を知ることがない年齢の人たちは、今の政治・経済が良いと思い込んでいて現政権を支持する割合が高い。

 

 とにかく、アニメを作っている当時者も言っているし、日本を客観的に見ている外人も指摘している、ということである。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2024年6月6日
  • 読了時間: 2分

 6月6日の6時と黙示録の666を予言としてひっかける。

 もちろんホラー映画『オーメン』のことだが、これは誤植で、もとの古文書では616だった。また、その数字が指す「獣」とはローマ帝国の暴君カリギュラの暗号だった。

 そして、もともと『オーメン』は予告編でナレーションが謳うとおり「サイコサスペンス」であるから、オカルトのようでも実は悩み事を抱えた人たちが精神を病み迷信に振り回されるという話であった。

 これが大ヒットしたため続編が作られて当初とは違った話になってしまった。


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 最近、続編ではなく前日談の映画が作られた。

 ここで串刺し神父の過去も描かれる。似た俳優をよく見つけたものだとも言われたが、後から作られた話だから本編と辻褄が合わない部分もあった。

 もともと『オーメン』の原作はオリジナルのシナリオで、これを後から脚本家が自ら小説化している。ここでは映画では描けない説明もしている。そして天罰なのか悪魔に口封じされたのか避雷針で串刺しになって惨死する神父は映画だとグレナン神父だったが、小説ではイタリア語っぽいタッソーネ神父という名前にされていて、聖職者として禁欲生活のうちに布教地で少年に性的虐待をしでかしてしまい、この事実を知られて信用を失い、信仰を裏切ることなる。


 聖職者による未成年者への性的虐待は昔から知られていること。

 そもそも禁欲生活が無理という指摘もあるが、建前として立派な人とされているのに裏では不道徳どころではないことをしていて、その告発があっても盲信する人たちは信じようとしなかったり、宗教団体の体面を守りたい人たちは知っていても隠蔽しようとして告発者を迫害したりするものだ。

 これを真面目に描いた映画が『スポットライト』や『オレンジと太陽』であった。『スポットライト』では告発を記事にする新聞が教会や信者の反発で新聞社の経営に悪影響しないかと苦慮し、『オレンジと太陽』では児童福祉の仕事で虐待を知った女性が狂信者の脅迫や暴力に怯えながら不遇な子供たちのために働く、という話で、どちらも実際にあったことが基になっている。


 こういう真面目な社会派ドラマを観ると、ホラーやオカルトの映画は内容が浅い。

 それに、黙示録の予言は、当たるか否か以前に、予言ですらなかった。当時のことを記述したもの。ノストラダムスの大予言と同じである。

 そして、冗談だと思って楽しめれば良いかというと、そう思って観ても退屈である。

 
 
 
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