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6月6日6時と黙示録の666

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2024年6月6日
  • 読了時間: 2分

 6月6日の6時と黙示録の666を予言としてひっかける。

 もちろんホラー映画『オーメン』のことだが、これは誤植で、もとの古文書では616だった。また、その数字が指す「獣」とはローマ帝国の暴君カリギュラの暗号だった。

 そして、もともと『オーメン』は予告編でナレーションが謳うとおり「サイコサスペンス」であるから、オカルトのようでも実は悩み事を抱えた人たちが精神を病み迷信に振り回されるという話であった。

 これが大ヒットしたため続編が作られて当初とは違った話になってしまった。


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 最近、続編ではなく前日談の映画が作られた。

 ここで串刺し神父の過去も描かれる。似た俳優をよく見つけたものだとも言われたが、後から作られた話だから本編と辻褄が合わない部分もあった。

 もともと『オーメン』の原作はオリジナルのシナリオで、これを後から脚本家が自ら小説化している。ここでは映画では描けない説明もしている。そして天罰なのか悪魔に口封じされたのか避雷針で串刺しになって惨死する神父は映画だとグレナン神父だったが、小説ではイタリア語っぽいタッソーネ神父という名前にされていて、聖職者として禁欲生活のうちに布教地で少年に性的虐待をしでかしてしまい、この事実を知られて信用を失い、信仰を裏切ることなる。


 聖職者による未成年者への性的虐待は昔から知られていること。

 そもそも禁欲生活が無理という指摘もあるが、建前として立派な人とされているのに裏では不道徳どころではないことをしていて、その告発があっても盲信する人たちは信じようとしなかったり、宗教団体の体面を守りたい人たちは知っていても隠蔽しようとして告発者を迫害したりするものだ。

 これを真面目に描いた映画が『スポットライト』や『オレンジと太陽』であった。『スポットライト』では告発を記事にする新聞が教会や信者の反発で新聞社の経営に悪影響しないかと苦慮し、『オレンジと太陽』では児童福祉の仕事で虐待を知った女性が狂信者の脅迫や暴力に怯えながら不遇な子供たちのために働く、という話で、どちらも実際にあったことが基になっている。


 こういう真面目な社会派ドラマを観ると、ホラーやオカルトの映画は内容が浅い。

 それに、黙示録の予言は、当たるか否か以前に、予言ですらなかった。当時のことを記述したもの。ノストラダムスの大予言と同じである。

 そして、冗談だと思って楽しめれば良いかというと、そう思って観ても退屈である。

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