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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2024年8月16日
  • 読了時間: 3分

 枝野幸男が立憲民主党の代表に復帰を目論んでいるらしい。

 もちろん、今の代表が話にならないから、結党した本来のあり方に戻したいと考えているのだろう。しかし、よほどの反省が無いと復帰しても政権交代など無理である。自民党で官房長官から首相になった人たちは、政権与党の中で譲位された。民主党政権が続いていたら、官房長官だった枝野幸男が首相になることもありえた。しかし、鳩山由紀夫と菅直人が小沢一郎の力を借りるなどして政権交代のうえ首相になるというようなことは、枝野幸男にはできまい。



 これは彼が日本新党の出身であることが主因だ。

 もともと日本新党とは、水俣病問題で評判の悪い熊本県知事だった細川護熙が、後に流行のようになる地方の首長を踏み台にして中央政界へ上るという手本となったやり方で国会議員になり、自民党を出て新党というだけのことなのに、これをマスコミがもてはやして首相に仕立るためのニワカ党であった。

 そこでマスコミとくにテレビ朝日がエコヒイキ報道で持ち上げ、このことは報道担当重役の発言漏洩から問題になり、国会で自民党と共産党から追及された。これは権力が報道をつるし上げているという点ばかり論われたが、ほんとうの問題は別にあった。つまり、自民亜流党への政権交代によってアメリカのように保守二大政党の大政翼賛会とさせ、財界の意向を汲んで市民は無視、軍拡と戦争に突き進んでも止まらない、監査機能が働かないから言論などが抑圧されファッショ化、という危ない意図だった。


 その偽装である上辺だけの刷新する新党にニワカ政治好きが集った。

 だから、政治の基礎が出来ていない。自民党を批判しきれない。などの致命的な欠陥を抱えている。それが日本新党から出た議員たちだった。

 そしてマスコミからエコヒイキされて当たり前だと思っているから、共産党・社民党のような打たれ強さがない。共産党・社民党は、全マスコミから叩かれてばかりである。そうすることが大手マスコミにとって必須項目のようなものだ。それを前提に闘うのが当たり前となっている共産党・社民党に比べて、日本新党はマスコミとくにテレビからエコヒイキされて当たり前ある。そもそもこのエコヒイキは共産党と社民党の前身の社会党を排除して保守と保守の政権交代で日本をファッショ化することこそが目的だった。


 その時とは政治情勢が変化している。

 なぜなら、自民党とコバンザメ諸党だけでファッショ化が実現しているのだから。ここで日本新党から出た政治家が真に自民党を批判して政権交代するのは、よほどの反省が無いと無理だが、その点で枝野幸男には反省して精進していると判断できる言動などが見当たらない。

 もしも、あるという良い判断材料があるというなら、ぜひ指摘してほしい。

 
 
 

 毎年、必ず、うんざりする話。

 八月十五日は終戦の日ではないのに、日本だけが戦没者の追悼式とか、政府が国民を誤解に導いて、国民の多くは騙されている。

 先日、『八月の狂詩曲』の話題を取り上げたが、その次に黒澤明監督が作った映画『まあだだよ』で、主人公の内田百閒が唄う中に「♪戦に負けて占領されて、終戦なんぞとバカを言い」との部分があり、聞いた弟子たちは笑っていた。


 八月十五日は敗戦の日である。

 日本は戦争で勝つことを諦めたという発表を公式に天皇がラジオで表明したから、当たり前である。それで終わってはいない。実際、それから九月になるまでアメリカ軍と散発的にだが戦闘は続いていた。

 そして樺太にはソビエト連邦軍が侵攻して犠牲者も出ていた。このさいの占領にアメリカは協力していた。ソビエトがやっつけたドイツの半分をアメリカは頂戴したから、代わりにアメリカがやっつけた日本の一部をソビエトにくれてやったのだ。


 ほんとうに戦争が終わったのは九月二日である。

 これは戦争に参加したり巻き込まれたりした国々では常識であるのに、日本は知らない人がいて、なぜなら政府が誤魔化しているからだ。

 戦争は相手があるから、降参だと一方が言っても、相手が同意してくれないと終わらない。日本は米軍艦ミズリーの上で全権大使が降伏文書に署名して、これで戦争が終わったのだ。



 この事実を知らせないことで好都合な人たちもいる。

 天皇が負けたと言って戦争が終わったという不自然なことに国民が気づかないと好都合な人たちが政府にいる。また、八月十五日の後にアメリカ軍とソビエト軍が日本を攻撃したのは不当だと非難もできるし、朝鮮戦争が停止しただけで終戦も休戦もしてないから身構えているのに、それが無意味に周辺の国を攻撃したがっているというバカげたプロパガンダをするのにも役立つ。


 そして今もウクライナ問題でプロパガンダを垂れ流している。

 プーチン大統領は、もう停戦が出来ない状態であると表明した。ウクライナ軍がなりふり構わずで無茶苦茶だから。それというのも背後でけしかける西側諸国のため。

 まったくその通りだが、樺太侵攻の時と同じように事情を誤魔化している。

 そして、政府のデタラメに対して野党が批判して八月十五日ではなく九月二日に戦没者追悼式を変えろと主張しないのも悪い。

 
 
 

 高市早苗議員が「戸籍上のファミリーネーム、家族一体とした氏は残したい」

 選択的夫婦別姓は、夫婦同姓も選べる。なぜ戸籍の「氏」が同じであることを強要するのか。これに高市氏は合理的な説明ができていない。

 ただ「家制度」に固執しているだけではないか。

 共産党の機関紙の社会部長その他、立場は異なる色々な人たちが、同様の指摘をしていた。



 ところで、かつて「文明としてのイエ社会」という本がベストセラーだった。

 これは村上泰亨・公文俊平・佐藤誠三郎の共著で、1979年に中央公論社から出た。著者らは経団連の御用聞きで、中曽根ブレーン。続けて80年代に入ると、統一協会の支援を受けた中曾根内閣が成立する。

 この本は、日本の保守イデオローグにとりバイブルも同然である。統一協会の価値観とも合致している。その主旨とは、日本が非欧米唯一の先進国となれたのは日本独特の家社会の為とするもの。この呪縛が今もある。


 なんてことない、マックスウェーバのパロディである。

 『職業としての政治』『プロテスタンティズムの精神と資本主義の精神』といった政治学・社会学の古典を真似て、資本主義を進歩させたのは金儲けを忌避する宗教的価値観という歴史の逆説と同じように、日本独特の封建的な家制度が近代化を促進させたのだと正当化したわけ。

 こういう、歴史の逆説というコジツケ屁理屈で正当化をしてきた保守イデオローグに拠っている自民党だから、いくら合理的な根拠を示して不合理や間違いを指摘したところで、自民党には「蛙の面に小便」も同然なのだ。


 ちなみに「蛙の面に小便」は本来「鮭の面に水」だが、自民党の面なら平気ということで、蛙に失礼な譬えを用いさせてもらった。

 
 
 
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