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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 8月18日
  • 読了時間: 3分

 「富田メモ」という日経新聞のスクープがあった。

 これは富田宮内庁長官が、昭和天皇の発言を書き留めておいたもので、ここに、今後は靖国神社を参拝しないと言っていたことが書かれていた。なぜなら靖国神社がA級戦犯を合祀したのが不愉快だからであるというのだった。

 その記述は、昭和天皇が靖国神社の関係者の名を挙げて批判しているなど具体的だったし、ちょうどそこから実際に昭和天皇は靖国神社を参拝しなくなったから、この信憑性は確かだという評価が固まっている。


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 靖国神社にこだわる人たちにとって「富田メモ」は衝撃的だった。

 「靖国神社に反対する者は日本人じゃない」と興奮して言っていたけれど、それなのに昭和天皇は、特に批判されているA級戦犯合祀が不愉快で参拝をしなくなったというのでは、非常に困る。

 それでなんとか否定しようとしたが、無理だった。しかし「ネトウヨ」は否定した。「朝日新聞の捏造だ」と。日経新聞のスクープなのに。ネトウヨが何か言うのは、こうした滑稽な雛型にあてはめて言うから、誰が何を言っても同じになるし、事実でなくても構わない。だから「ウヨ」は右翼ではないと言われるわけだ。


 そうしたネトウヨの滑稽なパターンをもう一つ紹介する。

 ネトウヨは誰が何を言っても金太郎であるが、そこでよく見かける一つに田中角栄首相が残した言葉にケチをつけて得意がっているのがある。田中角栄首相は言った。「戦争を知っている者が政治の中枢に居るうちはいいが、居なくなったら危険だ」と。この警告が、今ちょうど当て嵌まると言われているけれど、これにネトウヨは「ヒットラーは戦争で活躍して負傷したから勲章を貰っている。この事実だけでも田中角栄の言うことは間違いで、そんな言葉をありがたがるのはバカだ」


 田中角栄は、庶民として軍隊に狩り出されたので虐待された経験を持っている。

 だが、田中角栄もと首相の後ろ盾で首相になった中曾根康弘は、東大を出て内務省に勤務するなどエリートコースを進んでいるなかで海軍士官になったから酷い扱いを受けた経験がない。だから田中角栄は、中曾根が土下座して頼んだとも言われているが、そのさい側近に説得もされたので、後から考えを変えたけれど、最初のころは中曾根を嫌っていた。

 そして首相になったあと、中曾根はエリートだったから苦労が解らない、戦争についての考えも軽いのだと、よく庶民から言われていた。


 中曾根と同様に、ヒットラーはどうなのか問題になる。

 ヒットラーが戦争で勲章を受けたことは事実でも、それは「戦争を知っている」ことになるのか。他の人たちのことも、そういう問題がある。そもそも、戦争に行った体験と、その体験によって得た認識は、人それぞれである。この当たり前のことを語らず、ただ漠然とした事実を挙げて、事実だけで反駁できると得意がっているのはみっともない。ただトリビアを提示しただけ。大したことないのに知っていることをひけらかして得意がっているのは無様だ。

 これはビートたけしが「なら~は何だっての」と言って真面目な話を茶化して面白いと錯覚させているのと同じである。たけしの場合はギャグだし、ギャグにしても初期に比べて質が低下していた。

 この質低下したビートたけしのギャグと同じことを、政治の話でやらかして自己満足しているのがネトウヨである。 

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 8月16日
  • 読了時間: 3分

 参政党の初鹿野議員が告訴された。

 名誉毀損の疑いで、有罪になれば三年以下の禁固または五十万円以下の罰金となる。この告訴を神奈川県警が受理した。

 初鹿野議員は元警官。SNSに「たくさんの仲間が共産党員により殺害され、殺害方法も残虐であり、いまだに恐怖心が拭えません」と投稿した。これに共産党の神奈川地区委員会が謝罪と撤回を求める抗議文を届けたが回答が無かったので告訴したと同委員会はマスコミの取材に回答した。

 また、参政党神奈川県連の広報担当者は、警察から通知などが無く事実関係を確認が出来ていないと述べたということだ。


 初鹿野議員は、事実に基づいた投稿であるとか言わないから怪しい。

 その内容からすると、初鹿野議員はネット上のいかがわしい情報に便乗したと思われる。そういうのは匿名の無責任なものだから、これに実名で乗るの人はまずいない。それを議員がやらかすのだから、相当のマヌケというべきである。

 もちろん、もと警官で、その程度の投稿をしている人ならいる。しかし際どいところまでにしておく汚い計算をしているのが判る。そういう配慮すらない議員ということだ。

 

 インターネット上の名誉毀損で警察が被害届や告訴状を受理することは乏しい。

 私的な争いであり、そこで下手をすれば、民事介入で警察が違法行為の誹りを受けてしまう。もちろん、政治的な意図から警察が不公正な対応をすることは、普通にある。

 これが逆に共産党が告訴されたなら、警察は大喜びで受理する。自民党が悦ぶからだ。警察は自民党の味方をして、共産党を迫害すると、担当者は昇進・昇給できるし、管轄の選挙区で共産党の得票が増えると警察署が組織の上層部から叱られる。警察は政治的に中立であると決まっているが、それを警察は守らない。

 警察ほど違法行為を堂々とやっている所は他にない。裏金も当たり前。警察を監視する機関が無く、他の公務員と違って労働組合が禁止されているから、不正な業務に個々人が抵抗しにくい。それで国連や国際労働機関から是正の勧告を受け続けている。


 それでも受理されたのは、よほどのことである。

 ただし、それは神奈川県警である。神奈川県警といえば兵庫県警や大阪府警の関東版と言われるほど腐敗の巣窟であった。最近また警官の「パパ活」が問題になり、しかも金を受け取って逃げた女の子を捜査の権限を利用して探す最低最悪の行為まであったが、かつて神奈川県警はインターネットが普及する前に警官の「テレクラ買春」などが問題になっていて、それと同時に他でも色々な不祥事が連発されていた。

 そして政治的にも、共産党の緒方靖男参議院議員宅盗聴事件があった。外国語が得意で八か国語が使えるから、自民党の議員からも通訳を頼まれる緒形議員の電話を盗聴すれば色々な情報が入手できると考えたらしい。


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 これについて緒方議員が訴訟を起こし、その弁護士は横浜法律事務所の人で、この法律事務所にいたのがオウム真理教を追及して殺害された坂本弁護士であった。この法律事務所を警察が目の敵にしていて、あのとき警察が真面目に捜査をしていたら、オウム真理教が増長してサリン事件など殺人にまで発展することは防げたと、オウム真理教事件のさい指摘されていた。

 そして今回も捜査がおざなりになるだろう、絶対に、と予想されている。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 8月11日
  • 読了時間: 3分

更新日:8月27日

 南京大虐殺の映画が話題である。

 この映画は世界各国で上映され、既に知られた史実を改めて認識させているが、日本では上映の見込みがない。日本には今も事件を否定したがる人達がいて、狂信者の暴力と妨害が予想されるからだ。

 もう故人だが、石原慎太郎もたびたび否定する発言をしていた。その内容がずさんなものであることは既に指摘されてるので言うまでもないが、他のことでも石原慎太郎の発言は似たり寄ったりで、かつては水俣病について「偽患者」「知能指数が低い」などと暴言を吐き、結局は謝罪に追い込まれた。ただし、これは石原慎太郎だけの特徴ではない。


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 ワクチン接種の薬害を否定する人たちがいる。

 この人たちの論法は、まさに「南京大虐殺はなかった」と言っている人達の手口と実にそっくりである。ところが、南京大虐殺を否定する人たちに対して「歴史修正主義者」という批判をする側の人達でも「ワクチンの被害は無い」「狂言」「陰謀論」などと紋切型の非難をしている頭と性格が極めて悪い人達がいる。そして「参政党と同じだ」」と非難する。右翼が「共産党と同じだ」と言うのと同じことをリベラル左派を自認する人達がやっている。石原慎太郎のような一貫性が無いのだ。

 ここで疑問なのは、この人達はなぜ同じトリックが用いられていることに気づかないのか、という点である。これは物事をどちらの側に立って語るかの「ポジショントーク」をしているだけだから、自ら検証する力が無いのだ。

 だから、そんな人たちは一方で歴史修正主義者を批判していたり大企業や行政に批判的だったりしているのに、そもそも医療や製薬は戦争犯罪に手を染めて大きくなっていた事実や、大企業と行政が癒着して暴利を貪っているから薬害が悲惨な犠牲者を出していた事実に、まるで気づくことができないのだ。


 医療裁判で、医師・病院に雇われた弁護士の論法は「南京大虐殺は無かった」式である。

 これは拙書『防衛医大…』(ホームページ参照)の訴訟でのこと。医師の不適切により患者が高熱を出しているのに、それを医師が上司の医師から指摘されても認めず、適切な処置をしないで患者を苦しめたという事実があったけれど、それを医師に雇われた弁護士は法廷で、高熱の数値が患者の言ったのとカルテに記載されたのとが少し違うこともって、患者の言うことは不正確で信用できないと主張した。

 なにバカなことを言うのか。数値が違っても高熱には変わらないし、上司の医師が指摘もしているし、これに対して後に処置をしている。揚げ足取りにしても御粗末すぎるが、その弁護士としては、ちょうど南京虐殺についての議論でよくあること則ち犠牲者の数の違いをもって虐殺事件の否定をするという滑稽な論法をあくまで押し通した。


 そんな医師に雇われた弁護士の屁理屈は裁判で通用しないに決まっている。

 よほど狂った裁判官でもないと無理である。そんな裁判官もいるから、それを期待してやるのだろうが。

 だが、そういう期待をしていなくても、とにかく患者を貶めることに執心していた。いくらトリックが暴かれて破綻しても平気で同じ話を口汚さだけエスカレートさせて繰り返した。

 これが医療裁判における医師・病院に雇われた弁護士にとって通常のやり方である。たまたま、その質の悪い医師が、それに相応しい質の悪い弁護士を雇った、というだけではないのだ。

 こういう現実を知っている者がたくさんいるのに、医療の業界と行政を妄信する人がいて、そんな人が、リベラルっぽい発言をしているマスコミ人や、利権亡者の厚生族議員ではない野党の議員にすらいる。この人達は解ったふりして何も知らない考えてないということなのである。

 
 
 
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