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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2021年10月23日
  • 読了時間: 2分

 今年は、まだ暑いが明らかに夏ではなくなって突然にまだ冬ではないけれど寒い気もするようになった、という秋らしい風情に欠ける気候である。



 そこで灯油の販売が始まり、チラシ広告にも掲載されるようになった。

 この暖房の灯油で思い出した。埼玉県の特に田舎である山の方にある公立高校でのこと。山間だから冬はとても寒いけれど、教室の石油ストーブは灯油の費用が無いため午前中の一時間半くらいしか焚かない。だから灯油の料金は全校生徒で集めて、もう少し暖房したらいいのではないかと皆が言っていた。しかし教員たちは何もしない。職員室だけはポカポカである。寒さに耐えかね他の教室の灯油を盗む生徒まで出る始末。


 ほんらいの予算の他に生徒から金を徴収することは問題があると教員は言う。

 しかし水道料金は、全校生徒に一人当たり一万円出せと強制していた。この予算超過は使い過ぎが原因だった。運動部の先輩が後輩にユニフォームその他の使用済み運動着を学校で洗濯させるからだった。こうした強制は一種のパワハラであるから褒められたことではないが、それにしても自宅に持ち帰り一緒に洗濯すれば手間も水道も洗剤も効率が良いから、そうやって節約すべきだ。そもそも合宿以外で洗濯を学校でするのは予定されていないことだから、それなのに学校で洗濯をすると水道料金超過は当然のことである。

 こういうことを、教員が生徒に全く指導しない。それでいて、他の同規模の公立高校では予算内なのに、うちだけ超過しては問題になりそうだからと慌てた教員たちが、強引に金の徴収をする。そういうことはしておいて、冬の暖房の灯油は予算以外から金の徴収は問題だからやらないと言う。ただメンドクサイだけなのは明白で、同じく怠慢であることの尻拭だと不当に金の徴収をする。


 なんでこうなるかと言えば山の中の田舎だから。

 こういうことが普通なのは田舎ばかりであり、田舎のボスみたいなのが全国から集まって来るのが自民党である。こういう感覚が普通である人たちから絶大な支持を受け続けてきたのだから、何も考えていない。だから新型肺炎などで生活困窮の人などに対策せず一方で無駄づかい等して当たり前なのだ。それでも政権与党でいられるなんてと怒っている人がいるけれど、別に不思議なことではない。不可解に感じる人は、田舎ではまともな常識が通用しないという実態を、知らないのだ。


  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2020年7月23日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年6月24日

 雨が続いている。

 かなり前に見たテレビドラマで、題名も内容も憶えていないが、梅雨時の場面だけ印象に残っているものがある。

 ある一家の母親が病気で入院したら、雨で乾かないからと洗濯しないでいるうちに着るものが無くなって困ってしまう。そして十代の娘が「こんなことは今まで無かった。それで気が付いたけれど、お母さんは何とかしてくれていたんだね」と言う。

 そのお母さんは、雨が続いても洗濯物を室内で干したりアイロンがけしたり、ということをさり気なくやっていて、家族が着る物に困らないようにしていた。それに気づかないでいたから、梅雨時でも着る物に困らないのを当たり前ように思っていた。ところが、お母さんが入院して気づいた。

 そんな場面だった。

 そういうことを自分の母親はできない人だったので、それを自分がやっていたのだが、すると家族が、やってもらって当たり前だと思い、試験や部活のため出来ないでいると、家族が「着るものが無い」と文句を言い、すると母親から「お前がやらないから文句を言われちゃったじゃないか」と怒鳴られたものだ。家事がまるでダメな主婦は珍しくないが、だから子供がやるものだと信じている人は希少ではないか。

 ところで、雨が続いている時は乾燥機を使えばいいと言う人がいる。干して取り込む手間暇を節約できるから、雨でなくても乾燥機を使っている人もいて、そういう人は、一階に洗濯機があって二階のベランダに干す構造の家に住んでいる場合が多い。

 そうでなければ、乾燥機を使用するのは梅雨時だけなのだから、なにも乾燥機を買うことなくてコインランドリーに行けばいいと言う人もいた。

 それで、今はどうしているかというと、湿度が高いと古傷が痛むので除湿機で室内の空気を乾燥させているが、そこに洗濯物を吊るしている。これで乾くから一石二鳥である。

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