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​炬火 Die Fackel 

 清水潔という人のTwitterが、たまたま表示されたのを見て、他の人と一緒にツッコミ入れようかと思ったが、ふと気づいて止めた。

 この人は、香港でもウクライナでも同じような大手メディアに垂れ流された金太郎飴話を調査報道と同列にしていたので信用できないと、とっくに諦めていたのを思い出したのだ。


 例えば、南京虐殺事件を否定する人たちを批判するために、ロシア政府と同じだと言うなんて明らかに間違いだ。

 かなり過去のことと、今現在のこととでは、世界情勢もメディアの技術もまるで違うし、歴史修正主義と現在進行形のプロパガンダ合戦も一緒にはできない。それが解かっていないのだから、基本的な取材と認識のメソッドが成っていないということ。


 なにより愚かしいのは、歴史修正主義者たちを批判するつもりで、トレンドというか旬というかのロシアを引き合いに出せば受け容れられやすいと思っている安易な姿勢だ。

 それにより「総ては外国を貶める米英のプロパガンダ」という、南京虐殺事件否定論者たちとって解りやすい図式が成立してしまうのに、そこまで考えていないか、そうして煽れば本が売れると計算しているか。



 かつて『レイプ-オブ南京』がベストセラーになった。

 これによりアメリカでも興味を持つ人が出たけれど、面白おかしくするため史実の検証としては劣悪であった。このことは『中国の旅』『南京への道』で日本軍の行軍跡を追跡取材した朝日新聞の本多勝一記者(当時)も指摘していた(『週刊金曜日』誌上)。

 どうも最近では不景気もあって売るために時流に乗ろうとする著者が露骨なことをするで、これは今後に禍根となるはずである。

 
 
 

 ウクライナのネオナチ集団と呼ばれる「アゾフ大隊」は2014年のドンパスの戦いの時、レイプや拷問の戦争犯罪で一般市民にも危害を与えていたが、ウクライナ当局は見て見ぬふりだった。アゾフの存在がなければプーチンが「非ナチ化の必要性」などと言い出すことはなかったはずだ。



 アゾフ大隊はウクライナ政府から正式に認められた軍隊の一部で、同隊の設立者の一人であるプロコペンコ少佐をゼレンスキー大統領が「ウクライナの英雄」としてこの3月に表彰していた。日本のマスコミは報じていないが、イタリアでは各紙で報道されている。

 芝居がかったゼレンスキー演説にヤラセのスタンディングオベーションは日本でもあって、ごく一部の野党が問題にしただけであったが、これら翼賛した諸国とは違いイタリアではゼレンスキー演説をボイコットした国会議員が大勢いた。そうした報道がされていることと相関があるだろう。


 上記を最初に知ったのは、もちろん日本の報道ではなく、フランス語で書かれたサイトであった。自動翻訳を用いて不自然な部分を辞書ひいて読んだ。その後に他のサイトで確認もした。

 拙書『朝日新聞…』で述べたとおり中東でのことがあったからだけど、それを知らないでマスメディアが垂れ流す嘘を信じたままの人が多い。これだから、知っていて故意にジャーナリストたちは商売で同じことをしているはずだ。国内で記者クラブに依存する大手マスコミの記者はもちろん、記者クラブ批判しているフリーランス記者だって、外国で取材するとNATO軍記者クラブ的な所から情報をもらっていることは、その一方的な内容から明らかであるが、それを現場に行ったとか危険を顧みないとか見せかけている。


 そもそも、とっくにアメリカは、ベトナム戦争でマスメディアが敵になった経験から警戒し、逆に利用するよう徹底的に統制するようになって久しい。

 当然ながらウクライナも同じことだ。行ったところで昔のように「現地へ赴いて直接」は意味が無い。そんな時代遅れの「取材」をしているジャーナリストを信じてはならない。

 あの東日本大震災のあと「ジャーナリスト」や地方議員まで、現場に赴いたと記念写真というか証拠写真というかを撮影した。ちょうどよい瓦礫はどこかと背景を探して。すべて解ったことにしたい顔つきで映っているのをSNS投稿していたが、今はウクライナだ。福島よりは遠いいけど安全ではある。


 むしろノンポリそうな普通の人たちは、よくわかっている。それは巷で普通の会話に自然と出てくる言葉から判る。

 「そりゃ戦争になれば子供とか弱い者が犠牲になるものさ。だから戦争はいけないことに決まっているけど、ウクライナの子供をテレビがことさら映して見せたりしているのを見ると、どうなのかな」

 「逃げてきた女の子が泣きながらロシア兵の暴虐を証言しているのは本当かしら」

 「子役だったりして」

 「イラク兵が赤ちゃんを大勢殺したとクウェート人少女が涙を流して証言」なんてヤラセもあったからね」

 「そういう放送するよう圧力に決まっているさ」

 「テレビは信用しちゃだめだわ」

 「もうやめようよ、要するにアメリカがウクライナをダシにしてロシアをつぶしたいだけでしょう。ついでに武器を売りたいんだろ。どうせウクライナの大統領は芸能界出身だから、そういう裏があるのがわからなくて踊らされてるんだよ」

 
 
 

 先日、たしか元週刊誌関係者だと思うけど窪田という人が指摘していた。

 「親露」や「陰謀論」ではなく、元々宣伝工作は戦争に付き物である。それなのに、ウクライナ戦争のことで報道を鵜呑みにする人ばかり。この原因は「平和ボケ」としていた。

 この人は右っぽいことを書くことが比較的多い。だから「平和ボケ」が原因だと考えるのだろうか。


 しかし国内のことでさえ日本人は同様である。

 なにか事件があって、誰か警察に逮捕されたとかマスコミが犯人視報道したとか、そうすると鵜呑みにして、ほんとうなのかと疑わない。そして、警察やマスコミに疑問を呈す者や、容疑者・被疑者の言い分を当人か弁護士から聴くべきだと当たり前のことを言う者に対しては、唐突に「被害者のことも考えろ」と言い、「人権派がいるから犯罪が起きる」と真面目に怒る人がいる。おそらく多数派であろう。

 これが日本の社会の実態であるから、それだけ権力・影響力を持つ者に盲従する傾向が日本人に強いというとだ。


 だから、ウクライナのことを取り上げて「平和憲法はいらない」「核武装しろ」と叫ぶ人たちはもちろんのこと、そんなのはコジツケの便乗だと批判している平和主義者や護憲派の人たちの中にも、国内で未成年者の犯罪をマスコミがセンセーショナルに騒ぐと「少年法はいらない」「子供でも死刑に」と叫んでいた人たちがいるではないか。




 あくまでマスメディアの扱いのことであって、本人の資質その他ではないと断っておくが、ウクライナのゼレンスキー大統領は、かつて時の人であった「光市のMさん」と同じだ。繰り返すが、あくまでマスメディアの扱いのこと。被害者スターであり、悪と戦うヒーローであるが、これはマスコミが作り上げた虚像である。

 前には香港の女子学生がデモに参加などしていたら日本のメディアから勝手に「民主の女神」と持ち上げられたこともある。反中国共産党の風潮を作り利用する権力に合わせてのことだが、当人は迷惑がっていた。

 他にも薬害とか拉致とか事件で時の人となった人たちがいるけれど、あくまでマスメディアが仕立てたこと。そこから選挙に立候補して議員になる人もいた。被害者を強調することで、もう一方の言い分など聴いてはいけないという空気の中でのことだ。


 しかし、言いにくくても黙っていてはいけない。効く耳持つ人もいるのだから。権力に操作されたマスメディアに踊らされるのは愚かしいことだ。


 
 
 
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