top of page

​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2025年10月10日
  • 読了時間: 2分

 マンションではなくアパートを選ぶ人が増えている。

 そういう報道があって、ひどい報道だと批判する人がいた。この人は外国で仕事をしていて、「岡目八目」のように客観的だと、日本のマスメディアがいかに駄目か、はっきり判るらしい。

 そして、その人が指摘する。マンションより割安だからアパートにしているのは金が無いからに決まっている。

 それを、どうして報道は問題にしないのか。だから駄目なのだ、というわけだ。


 これは、一時の仮住まいではなく生活の中心になる住居の話だ。

 それなら、居住性の良い建物が絶対に安全で快適である。だから良い物件ほど費用も多くなる。なのに、金があってもケチッて安い方にする人はまずいない。

 つまり、安い方にせざるを得ないのだけれど、それをわざわざ安い方にする人が増えているという報じ方は、貧困な人が増えている実態を隠蔽しているのだ。 


 前にも、風呂無アパートを選ぶ若者が増えているという報道が流行った。

 これは、銭湯が良いからわざわざ風呂無しを選択しているという報じ方だった。内風呂があっても銭湯やスパに行きたいときに行けばいいだけのことだから、風呂無しにする意味は無い。それで節約になるわけでもない。むしろ今は燃料費の高騰などで銭湯は高額だから、毎回の入浴を銭湯にすると、風呂無しに住むより割高になってしまうほどだ。それでも風呂無アパートに入居するのは、手持ちの費用が貧弱だからだろう。

 こうなると、貧困な人が増加しているという深刻な問題のはずだ。それを、好きで風呂無アパートにする若者がいると報道されていた。

 

 ということは、マスメディアが、社会の問題を把握できていない。

 あるいは政府に媚びて、その無策を隠していることになる。こんなマスメディアは、まるで『ドラえもん』に出てきた「いたわりロボット」だ。

 ドラえもんがのび太のために何でも慰めてくれるロボットを出したら、それにのび太は依存してしまい、心配になったドラえもんが未来を見たら、のび太は浮浪者になっていて、ホームレスになったことをロボットに慰められていて、これでは駄目だ、という話だった。



 こんなマスメディアは本当に駄目だし、それに騙されてはいけない。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2025年9月28日
  • 読了時間: 4分

更新日:2025年11月26日

 三重県松坂市で59歳の女性が詐欺の疑いで逮捕されたという。

 これは、収入を申告せずに生活保護を受けたからで、それを報じた地元の有力紙(三重県松坂市に限ると全国紙より影響力があるともいわれる)『夕刊三重新聞』の記事が基になっている。

 これを主婦むけサイトマガジン『シュフーズ』が受け売りのうえ不正な脚色をして流布したのだ。


 


 まず、不正受給の総額が約289万円になるので「金額が大きい」と注目を集めているという大見出しで、これがネット上でブラウザに意図せずとも表示されるようになっていたことだ。これを流布させることに不純な作為を感じる。

 しかも『シュフーズ』の記事になると、元の『夕刊三重新聞』の記事と違って、不正受給の総額が約289万円に「のぼる」と記述されている。こんな記述をしていたら「金額が大きい」と受け止めるおっちょこちょいな人もいるだろう。しかも、その記事中で「大きい」と言っているとされるのは、あくまで匿名ネット民である。




 正しく読めば、同記事は「2021年4月から2024年3月までの約3年間」に合計「37回」の金額だと説明してもいる。つまり年に約96万円、月に約8万円である。これが3年と1ヶ月分。小学生にも出来る簡単な割り算をすれば、地方で最低の生活費として生活扶助の基準になっている額である。この明細からすると289万円は「金額が大きい」とは到底いえない。単に、実は収入があるということに市役所が3年ほど気づかなかっただけである。

 それを、高額な不正受給をした人がいると報じているのだから、『シュフーズ』のしたことは虚偽の報道と言ってもいいだろう。

 

 しかも、その虚報によって59歳の女性が逮捕されたことを当然視させている。

 この程度のことなら、不正になることを当人に指摘したうえで、生活保護を打ち切り、既に渡した3年一か月分の返還を求めれば済むことである。それだけでは「だめでもともと」と不正な申請を役所にして受け取り、バレたら返せばいい、ということになってしまうとの危惧があるなら、返還にさいして利子を付けることだ。これは他のことでも公的機関がやっている。役所の単純なミスが原因であっても、市民に返還させる時は利息をつけている。それを払わなければ差し押さえする。これは税金などで情け容赦なくやっていることだ。

 ところが松坂市は警察沙汰にした。


 市が少額の問題で市民を警察に告訴するだけでも不適切である。

 しかも、その女性は警察の取り調べに対して「だましたつもりはありません」と疑いを否定しているとも記事は説明している。そこで警察は詳しい経緯を調べているということだから、それがはっきりするまでマスコミに発表することも不適切である。

 言うまでもなく、他の刑事案件でも、警察が安易に発表したり、それをマスコミが無批判に垂れ流し被疑者の言い分をろくに取り上げない報道をしたり、などということは不公正であり人権侵害になる。

 こんなことで市役所が警察に訴えていいのか、警察は追及するにしても逮捕までする必要があるのか、という批判的な記事ならともかく、そうではなくこの記事は、警察の一方的な発表を垂れ流したものだ。いちおう逮捕された人は匿名であるが。

 それを『シュフーズ』は、逮捕された人は悪質であると印象操作する虚報に仕立てたのである。

  

 生活保護の不正で昔から問題なのは暴力団関係者である。

 暴力団員が生活困窮者を装ったり、ほんとうの生活困窮者を利用したり、そうすることで生活扶助費を不正に受け取ることは、昔から生活保護制度の不正の代表格であった。だから警察沙汰になるなら、暴力団がらみであるのが普通である。

 では、この件はどうなのか。それこそ警察が調べるべきことで、だから逮捕までして追及している、ということなら理解できることだ。しかし、そうでなかったら、こんなことで警察が出るのも、それ以前に市役所が市民を告訴するのも、やってはならないことだ。


 ところが『シュフーズ』は、多額で悪質だから逮捕という脚色をして流布した。

 しかも『シュフーズ』の記事でさえ、ちゃんと読めば違うことが判る御粗末。

 その女性に悪意が無いとしても落ち度はあった可能性ならある。けれど、暴力団がらみであるかは警察が何も言ってないから不明であるし、それなのに記事は空々しい印象操作をしているのだから、その女性より『シュフーズ』のほうがよほど悪質である。

 こういう低劣で煽情的なサイト情報が、差別や弱者いじめをはびこらせるのだ。ほんとうに要注意である。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2025年9月15日
  • 読了時間: 3分

更新日:2025年9月17日

 参政党の神谷代表が演説のなかで「秋田美人」に言及した。

 そこで、肌が色白であることは異人種との混血のためだと言った。これは昔から言われていることだ。生前の黒澤明が、あの時代の日本人としては大柄で180センチを超える身長であることについて、親戚には青い眼の人もいたと言っていたことがある。黒澤とは秋田県に多い姓である。

 うちの親も秋田県の出身者で、その同郷の同級生に黒澤という人がいるが、秋田県に黒澤という姓の人が多い地域がある。黒澤明監督の映画『生きものの記録』には、主人公の故郷が「秋田県仙北郡」であるという場面があった。ここは、うちの母親の出身地である。そこへ冠婚葬祭で行くと、色白の他に赤毛などなど日本人ばなれした容姿の人はざらにいる。稚内には時々ロシアの漁船が停泊して乗組員が買い物をするからスーパーマーケットにキリル文字の表示があるけれど、そこへ行った時に自分は顔と身長のために間違えられたことがある。

 

 秋田県は男鹿半島が大陸の方へせり出している。

 そこで大陸から渡来した人がいて、交流や混血があったのだろうと言う人もいた。鬼は身体的特徴から日本に来た白人のことであるという説があるけれど、男鹿のなまはげも鬼みたいなので同じだろうと言われている。

 しかし、交流が他の地域よりは多かったとしても、地域に住む人の全体的に身体的特徴へと反映することは考えにくいし、外見の特徴の原因はまったく解かっていない。昔から日本人が「謎の民族」と言われてきたのは、複数の人種が混ざっているらしいけれど、どの人種なのか不明な身体的特徴が見受けられるからである。

 ということで、参政党の神谷代表が言ったことは、かなりいい加減である。


 そこで神谷代表は「白系ロシア」と言った。

 これは革命を逃れて外国に出たロシア人のことである。革命軍を「赤軍」と呼び、革命側が暴力に訴えるのを「赤色テロ」、大勢側が暴力に訴えると「白色テロ」と呼ぶのと同じ語源である。

 それを神谷代表は肌が色白な人種という意味で言った。これが「秋田美人」に影響したと言う。そうとしか解釈できない文脈だった。だから無茶苦茶であると批判され、また嘲笑されてもいた。

 これと同じ無知をかつてテレビで曝したのが久米宏であった。テレビ朝日の『ニュースステーション』で、モスクワと中継のさい「赤の広場」が映ると「ソ連が崩壊しても赤の広場というのか」とボケをかましてしまい「ロシアでは美しいという意味で赤いというのだ」と指摘されていた。



 もっとひどいのがNHK。

 これはDVDにもなっている。ロシア革命に反対する白系ロシア人が、ナチスと結託して裏切られたことがあるけれど、これについてNHKは、進駐するドイツ軍の兵士たちへ地元の女性が花を送っている映像に、共産主義の抑圧から解放してもらったことを感謝しているというナレーションの説明を入れていた。

 この映像はナチスのプロパガンダ映画のヤラセ場面であり、元の映画は、こうして地元の歓迎を受けたうえで、そこに潜むユダヤ人たちを狩って一掃してやったぞ、というものだった。そこから部分的に抜粋してナチスが感謝と歓迎をされていたという番組にしていた。

 つまり久米宏は参政党の神谷代表と同じ無知だったが、その後なんとNHKはナチスのプロパガンダを利用して故意に虚偽の放送をしていたのだ。こうしてみると、参政党の神谷代表ばかりを笑ったり批判したりしていては甘いというべきだ。

 
 
 
  • twitter

©2020 by 井上靜。Wix.com で作成されました。

bottom of page