- 井上靜

- 2024年8月7日
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日本に来て長い付き合いのベトナム人が指摘の発言のこと。
それがSNS上で、ちょっとした話題だった。日本人は東南アジア人諸国の人たちについて偏見に基づく非難をするけれど、そんな中で東南アジア特にベトナムは経済の成長などが著しい。また、日本人は中国製品など安かろう悪かろうだと見下していたけれど、これは昔の日本も同じで、それを日本は努力して世界的に評価されるようになった。だから中国も努力してきた。そしてスマホや自動車で世界的に評価されるようになった。そんな中で、日本だけが不振で経済の成長が停滞している。
これが現実なのだから、もしも外国に対して批判があるなら堂々と言えばいいけれど、その内容には注意を払うべきで、見下すことはすべきでない。
そういう趣旨だった。
これについて日本人からも反省の声があった。
やはり「兎と亀」の寓話と同じことで、先に進んでいたけれど息切れして一休みしたら、余裕だと思っていたけれど追い抜かれていたようなものだというわけだ。
また、ベトナムのことだと、かつて日本は戦争で惨敗してアメリカの従属国となってしまったが、そのおかげでアメリカのオコボレに与り経済大国といわれるようになったのに対し、ベトナムは戦争で民族独立を勝ち取ったが世界最貧国だ、という負け惜しみを日本は言っていた。そして経済でも外交でも昔と同じやり方では通用しなくなり、そうなると日本はただ諂うばかりで自尊心や自己肯定感を持たない無様な国民が要る国でしかない。
ここで田原総一朗と栗本慎一郎の漫才を思い出す。
あのテレビ朝日の長寿番組でのこと。他を見ても、テレビ朝日の長く続いている番組でまともなのは『ドラえもん』だけだが、ここに明治大学教授の栗本慎一郎が出たことがあった。後に新党から選挙で当選したが党の瓦解で自民党に誘われて入ったものの党議拘束に違反して採決で退席したため除名されるという、タレント学者を売りに政治家になったが活躍できなかった人だ。
この人は学生時代に左翼の立場で学生運動をしていたが、これは単に当時の流行だった。その程度のことなのに、この学生運動世代の連中は大体、日本が一時的に経済大国と言われるようになったことに便乗し、日本の資本主義が正しいと思って転向したと言って得意がるものだった。そんなこと言っても誰もエライと思ってなどくれないのに。
このネタで栗本慎一郎は田原総一朗と漫才をした。

まず同類項の田原総一朗がツッコミを入れる。
栗本慎一郎は大学生のころ極左過激派だったのに、今ではゴリゴリの保守だと。ここで栗本慎一郎がボケる。アメリカに屈しなかったベトナムを見れば当然だ。敗戦した日本の方が豊かだ。この現実が理解できない方がバカなのだ。
こんな面白くも無い漫才を、電波芸者のマスコミ人とタレント学者の大学教授が、マスメディアでして見せていた。これは象徴的で、日本の社会の全体が、この調子だった。その挙句の衰退した現在の日本なのだ。


