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​炬火 Die Fackel 

 外国人観光客のマナーが悪いと文句を言う日本人がいる。

 とくに中国人の田舎者が傍若無人であるからだ。セレブとまでいかないけれど、そこそこ余裕のある層の人たちが、近場の外国に観光に行き田舎者まる出しで行儀が悪い。

 しかし、日本人も昔から「農協ツアー」が同じだった。だから筒井康隆が『農協月へ行く』という小説を書いてウケていた。月に観光で行けるようになったら、そこで農協ツアーの集団が田舎者まるでしてマナーの悪さを剥きだしにする話だ。


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 買春ツアーも国際的に顰蹙を買っていた。

 これは日本でも恥ずかしいと言われ、テレビなどマスコミでも取り上げられていた。日本は「恥の文化」がある一方で「旅の恥は搔き捨て」とも言われている。それで外国に行くとマナーが悪いうえ、買春も盛んにやっていた。それが会社の仕事で外国に行って、ついでに個人でコッソリというのではなく、上司や取引先が率先してのことだった。

 特に東南アジアでは、児童買春の客にもなっていた。かつての円高の時は、その格差を利用して東南アジアに行って児童買春の客になり、それを帰国してから大喜びで語っていた日本人が大勢いた。


 台湾の映画にも描かれていたので、NHKが取り上げていた。

 ここで映画解説者の佐藤忠男が出ていて、外国の映画で日本人がどう描かれているのかという話題の中でのことだった。

 いかにも日本人の会社員のオジサンという人たちが仕事で台湾に来ると、会社ぐるみの買春で狂喜のうえ、その話を白昼堂々と街中で楽しそうに話すから、取引先の社員で案内役をしている若い台湾人男性が注意する。「台湾には日本語が解る人が大勢います」と。

 ところが日本人のオジサンたちは、どうせ日本に帰るのだからいいんだと言う。「旅の恥は搔き捨て」ということだ。しかし案内役の若い男性が「でも、後で、こんな日本人たちがいたという悪い評判が立ちますよ。どこの国でもそうだけど、台湾だって、人前で平然とセックスの話をすることはありません。マナー違反です。日本語が判る人が多いのも戦争中のことがあったからです。だから、なおさら…」というと日本人の会社員のオジサンは「日本は戦争で何も悪いことしてない。鈴木明の『南京大虐殺のまぼろし』という本を読めばいい。あんな事件は無かったんだ」

 これに台湾の男性は、商売の取引とはいえ、こんな日本人と付き合うべきなのかと悩む。


 つまり外国と商取引していても実は「井の中の蛙」でいる日本人ということ。

 だから国内で歴史修正主義を頑張ってみても、それを外国からは無反省が今も続いている恥知らずの日本人と受け止められているということだ。そして、いずれは「金の切れ目が縁の切れ目」となる。

 実際に、日本人のマナーが良くなったのではなく、日本は金が無くなって今までのように出来なくなっただけ。かつては「じゃぱ行きさん」と言われた日本に買春に行く女性がいたけれど、今では逆に日本人女性が外国に出稼ぎ売春したり、街頭で十代の女の子が「立ちんぼ」したり、という現状である。

 いま、日本人が外国人観光客のマナーを悪いと言っても、それはかつて日本人が外国に行ってやっていたことであり、それが経済的優位さが逆転したため、やられているということなのだ。だから、外国人のことを言えば言うほど日本人が恥ずかしくなってしまうのだ。「日本人は中国人と違って礼儀正しくてマナーが良い」と言ってもらえるのは、日本人の方が金を持っていたからで、そうでなくなれば言って貰えなくなる。売春でも日本人が好評だったのは、あくまで「払いが良くて、早く終わる」からである。そう言われて散々、笑われていた。これからは日本人が好評なのは「早く終わる」だけである。それを心すべきだ。

 

 
 
 

 日本に来る外国人が多い。

 これは円安が影響していると指摘されている。そして日本で学校に通ったりで、中には永住を希望する人もいるそうだ。

 このため、落ちぶれたと言われている日本だけれど、豊かで良い国なのだと言う人がいる。


 しかし日本に来る中国人や韓国人は日本に批判的である。

 やはり利用すれば有益だから来日するけれど、その一方で日本の悪いところは日本人よりちゃんと見ている。

 そして、日本には利用すれば有益なものがあって良いけれど、それを日本人が使いこなしていないということで、そうなってしまうのは日本人が空気とか忖度とかばかりだから駄目なんだということだ


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 そうした日本人の態度だけではなく、やはり日本は落ちぶれた国である。

 それでも外国人は来る。かつてアメリカに行く日本人と同じである。ベトナム戦争とか人種暴動とかあって、アメリカってろくでもない国だという時ほど、そんな国でも外国人が行くと有益だと言っていた。そしてアメリカが大好きだけれどアメリカを批判していた。

  

 それで、日本人の中には日本に来る外国人に反感を持つ者がでる。

 なんとなく、日本が嫌いなのに来て、日本を利用だけしている、というような印象を持つからだ。そういうのとは違うのだけど、そこを解らない者が結構いるということだ。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 4月12日
  • 読了時間: 2分

 トランプ大統領が国民に、今が辛抱の時だから耐えるよう訴えた。

 これには既視感があると思ったら、小泉首相が改革の痛みに耐えるよう国民に説いていたのと同じだった。それでどうなったかというと、日本の経済は破綻して社会の倫理も崩壊しただけだった。それが今の惨状の大元である。これがなければ、後からいくら安倍晋三が無茶苦茶やったとしても、ここまで酷いことにはならなかった。

 ということだからアメリカも日本と同じことになるのだろうか。


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 もちろん日本とアメリカとでは違う。

 なにより日本は国の富をアメリカの強奪されたのに対して、アメリカは国の富を強引に保護しようというのが却って不味いのではないかというのだから。

 かつて国の富を強奪されたのがロシアだった。エリツィン大統領がボケっとしている間のことで、困った彼に跡を継いでほしいと頼まれたプーチン大統領が、国の富の強奪を止めさせることに成功して支持されたのだった。


 ロシアの件はクリントン大統領の当時である。

 この人も「チェンジ」と言っていたからレーガン・ブッシュ政権よりマシになったかと思ったら、輪をかけてひどいことになったのだった。

 さらにブッシュシニアのあとブッシュジュニアが酷いので、オバマ大統領に変わったから良かったと思ったら、オバマ大統領はとんだ食わせ物だった。オバマ大統領の一期と二期は、ブッシュ大統領の三期と四期だとアメリカの官僚だちが言っていたほどだった。

 そして論外のバイデン大統領である。ここで遂にロシアは忍耐も限界となり対立が決定的になる。


 そういう次第でトランプ大統領が返り咲きした。

 だから彼が無茶苦茶なことをしていると言われても、では他の人が大統領だったらどうかというと、もっと酷いことになるか、後から酷いことになる原因を作ること確実だっただろう。

 なのでトランプ大統領に文句を言っても仕方ない。どのみち酷いことになるのだから。むしろトランプ大統領の先の政権では、オバマ大統領の時の駄目すぎる政策を取り止めるなどしていた。これだから返り咲きが出来たのだ。

 ということで、やはり日本とは事情や状況が異なるというべきである。 

 
 
 
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