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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年5月10日
  • 読了時間: 2分

 前回まで6回に分けて投稿したインタビューは、今まで大手メディアによって報じられた物事の裏側にある真実が述べられていた。

 それで長くなってしまうけれど紹介した。一方で大手メディアは表向きの部分だけ美化のうえ拡散してきた。これは最近のことではなく昔からである。しかも日本では一応リベラル派ふうの報道人によって尤もらしく垂れ流されていたので、真に受けた人が多い。特に専らテレビのニュースショーを拠り所としてきた人たちには絶大な影響があった。


 しかし、インタビューで述べられていたとおり、絶対善と絶対悪の戦いというのはハルマゲドンの図式であるし、片方が絶対悪で大統領は悪の組織の首領、もう片方は悪に立ち向かう正義の勇士、なんていうのはマーベルコミックの世界である。

 そんな現実には有り得ない空想を基に政治・経済・外交・戦争といった国際問題を語っている人たちは、テレビ依存症や漫画の読みすぎにしても滑稽すぎる。


 ところがマスコミとくにテレビは圧倒的だった。

 そして日本では「いくら自民党がひどくても、野党に政権交代などあってはならないし、政権交代はあったほうがよくても、自民党と同じでないといけないから、保守二大政党になるべきで、共産党など排除しなければならず、それが世界に課せられた義務であるから、そのため小選挙区制にするのだ」という趣旨のことを連日のように叫んでいた。

 これはただマスコミが騒いだのではなく、後ろ盾に大金を持った勢力がいた。インタビューでも述べられていたとおりだ。多少の事情は異なっても、マスメディアの宣伝という同じ図式は、日本でもウクライナでもあった。



 それにしても、メディアの被害者だった日本共産党の無抵抗ぶりはひどすぎる。

 いくら選挙にむけてテレビ漬けの有権者に迎合しなければならないとしても、れいわ新選組だけは抵抗を示しているのだから、共産党だって可能なはずである。れいわ新選組は経済政策などがダメだけど、ここは一部の議員が一応の態度である。

 おそらく、新しく出来た団体と違い昔からある団体は、過去の無念さから委縮気味になっているのであろう。

 
 
 

更新日:2022年5月9日

●現時点でのゼレンスキーは、エスカレートすれば深刻な意味を持つ紛争に関して、世界の舞台で最も影響力のある人物です。

 そのように彼を祭り上げたのと同じショービズ操作スキルを使って「悪と独裁の力に対する民主主義と正義の個人的な具現化」というイメージを背景に彼が支持を集めてしまうことを、私は恐れています。まるでマーベルのコミックの世界に基づいたハリウッド映画のようなものです。これこそまさに外交の常識に反しそうなシナリオです。

 ゼレンスキーはウクライナの戦争指導者として、建設的な役割を果たしていると思いますか。


 私はゼレンスキーの戦争演説を定期的にフォローしていますが、彼が紛争を提示する方法とは「善の勢力が悪の勢力によって攻撃されている」と絶えず繰り返ことなので、外交的解決につながることはほとんどないと確信を持って言うことができます。そのようなハルマゲドン図式で政治的解決があり得ないことは明らかです。

 そんな戦争の神話的な枠組みから除外されているのは、出来事のより広い文脈すなわち「ウクライナが、ドンバス戦争でウクライナ軍が敗北した後、2015年に調印されたミンスク和平合意の実施を何年も拒否してきた」という事実です。これらの合意によれば、ドンバスはウクライナ国内で政治的自治権を受けられることになっていて、これが過激派にとっては想像もつかず、受け入れがたい点でした。国連によって批准されたこの文書を実行する代わりに、キエフの政権は8年間、境界線に沿ってドンバスと戦いました。これらの地域に住んでいるウクライナ人の生活は悪夢に変わった。そこで大隊が戦った過激派たちにとって、ドンバスの住民は賊軍の「ソヴキ」「ヴァトニキ」と看做され、同情や耽溺の対象ではないのです。


 現在の戦争は、キエフの政権が、いわゆる"反テロ作戦"を装って、反マイダン反乱を鎮圧するためドンバスに軍隊を派遣した時に始まった2014年の戦争の、延長線上にあることです。

 このより広範な文脈の認識は、ロシアの"軍事作戦"の支持を前提としているわけではないけれど、今起きていることについてウクライナにも責任があるという認識を意味します。

 「野蛮主義に対する文明の戦い」や「独裁に対する民主主義」の観点から、現在の戦争の問題を定式化することは、印象操作以外の何物でもありません。これは状況を理解するために不可欠です。かつてのブッシュ大統領式「あなた方は我々と共にいるか、テロリストと共にいるかのどちらかだ」は、ゼレンスキーが「文明世界」に訴える中でも広められている。

 この公式は、進行中の災害に対する個人的な責任を除外するのに非常に便利であることが証明されています。


 この一次元的な物語を世界に売り込むために、ゼレンスキーの芸能的スキルは非常に貴重に思えます。彼はついに世界の舞台に上がり、世界は歓声を上げています。元コメディアンは満足感を隠そうともしない。

 ロシア侵攻の10日目である2022年3月5日、フランス人ジャーナリストからの、戦争が始まって彼の人生がどのように変わったかについての質問に答えて、ゼレンスキーは喜びに満ちた笑顔で答えました。

 「今日、私の人生は美しいです。私は自分が必要とされていると思います。それが人生の最も重要な意義だと思います。ただ呼吸し、歩き、食べるだけの空虚な人生ではないと感じることができ、私は真に生きています」

 私にとって、この様相は憂慮すべきものです。ゼレンスキーが、戦争によってもたらされた世界の舞台でパフォーマンスするユニークな機会を楽しんでいることを意味するからです。彼は自分の人生を美しくしました。彼は生きている。人生がまったく美しくない何百万人ものウクライナ人や、もはや生きていない何千人ものウクライナ人とは異なります。



●アレクサンドル-ガブエフは、ロシアの指導者たちが、紛争を煽たであろう国に関する専門知識を欠いていると示唆しました。

 また私は、ロシアのコメンテーターが、ウクライナは親欧米や親ロシアであることに対して的確な態度でいると示唆するのを聞いたことがあります。

 これは双方にとって重要な要素だと思いますか?



 私は、マイダン以来のウクライナで起きている社会的プロセスについて、ロシア指導部側の理解の欠如についての声明に同意する傾向があります。

 実際、ウクライナの人口の半分はマイダンを歓迎しておらず、南東部に住む何百万人もの人々がロシアの介入を望んでいました。私の親戚や古い友人は皆、これらの地域に住んでいるので、たしかであることを私は知っています。

 しかし、2014年に真実だったことが、今日では必ずしも真実ではありません。8年が経ちました。新しい社会環境で育った新世代の若者が成長しました。そして多くの人々は単に新しい現実に慣れてしまったのです。最後に、彼らのほとんどは過激派とウクライナ化の政治を軽蔑しているが、それ以上に彼らは戦争を憎んでいる。当地の現実は、政策の立案者たちが予想していたよりも複雑であると判明しました。



●ロシア人ではなく西洋人と同一視したがるウクライナ人の優越感はどうでしょうか。


 これは真実であり、私が懸念しているうち、マイダン後のすべての歴史の中で最も悲劇的な部分です。なぜなら、「進歩的な」親マイダン勢力が彼らの「後進的」親ロシア同胞との共通言語を見つけるのを妨げたのは、まさにこの優越感だったからです。

 これがドンバス蜂起、ドンバスに対するウクライナ軍の"反テロ作戦"、ロシアの介入、ミンスク和平合意、その不遵守、遂に現在の戦争につながったからです。 (了)


GL for Investig'Action による英語からの翻訳

翻訳は当ブログ管理者。


 
 
 

更新日:2022年5月8日

ウクライナの過激派を利用するゼレンスキーの右翼的変節


●ウクライナの学者ヴォロディミール-イシチェンコは、NLRとの最近のインタビューで「ソ連崩壊後の東ヨーロッパでは、西ヨーロッパとは異なり、ナショナリズムと新自由主義の間に親和性が多くある」と述べました。

 この現象は、ドンバスで最も裕福な人々の間でも観察されています。

 あなたは、その声明に同意しますか。もしそうなら、この同盟がどのように進化したか説明してもらえますか。


 私はヴォロディミールに同意します。

 我々がウクライナで見ているのは、ロシアおよびロシアとの協力を主張する全ての人々に対する共通の不寛容さに基づく、ナショナリストとリベラルの同盟です。現在の戦争に照らして、このリベラル派とナショナリストの団結は、一見は正当化されそうです。

 しかし、この同盟は、この戦争のずっと前の、マイダン運動が結成された2013年に、創設されていました。リベラル派にとって、マイダンによって支持された欧州連合との連合協定は、主に民主化、近代化、文明の観点から認知(ウクライナをヨーロッパの統治基準に引き上げる方法としての構想として)認知されていました。

 これとは対照的に、ロシアに率いられたユーラシア経済連合は、ソ連の国家主義とアジアの専制主義への文明的後退と関連づけられ認識されていました。そこで、リベラル派とナショナリストの立場のうち後者がマイダンを積極的に支持したのは、民主化のためではなく、明らかに反ロシア的な立場のためだったのです。


 抗議行動の初期の頃から、過激な民族主義者は最も活発なマイダン戦士だったのです。「ユーロ-マイダン」を進歩、近代化、人権などと結びつけるリベラル派と、その運動を民族主義的綱領のために取り入れる急進派との間の団結は、市民の抗議を憲法違反の権力転覆につながる武装闘争に変えるための重要な前提条件であったのです。革命における過激派の決定的な役割は、覇権主義的な反マイダン言説が「キエフの権力交代」と呼ばれたように、ウクライナ東部における大規模な反マイダン運動、"クーデターに反対する運動"の形成における決定的な要因にもなっているのです。

 今、私たちが目撃しているのは、少なくとも部分的には、そうしたマイダンの間に形成された不幸で近視眼的な同盟の悲劇的な結果です。




●ゼレンスキーとウクライナの極右との関係が、どのようなものであったか説明していただけますか。


 ゼレンスキー自身は、決して極右の見解を表明しませんでした。非公式の選挙綱領として使われてきた彼のテレビシリーズ"Servant of the People"(人民の下僕)では、ウクライナのナショナリストが否定的に(彼らは愚かなオリガルヒの傀儡にしか見えない)描かれています。

 大統領候補としてゼレンスキーは、前任者ポロシェンコが署名した、ウクライナ語の知識を公務員、兵士、医師、教師の必須要件とする言語法を、批判していました。「私たちは社会を強化する法律や決定を開始し、採択しなければなりませんが、その逆はありません」とゼレンスキー候補は2019年に言いました。


 しかし、大統領に就任した後、ゼレンスキーは前任者のナショナリストプログラムに目を向けました。2021年5月19日、彼の政権は、ポロシェンコの言語法に厳密な準拠をした計画である「公共生活のあらゆる分野でウクライナ語を促進するための行動計画」を承認し、ナショナリストの歓迎とロシア語話者の失望を招いたのです。

 またゼレンスキーは、政治的敵対者やドンバスの人々に対して過激派たちが行ったすべての犯罪について、訴追するために何もしなかったのです。ゼレンスキーの右翼的変節は、ブジナ殺害の容疑者の一人である民族主義者メドヴェドコの支持という形で象徴的に顕在化しました。このメドヴェドコは、2021年にゼレンスキーがロシア語の反体制派チャンネルを禁止したことを公式に支持しています。


 問題はその理由です。

 人民は、彼が和解の政策を追求することを望んでいたのに、なぜゼレンスキーはナショナリズムを支持して方向転換したのか。

 すでに多くのアナリストたちが承知しているように、これは、過激派が、ウクライナ国民の少数派を代表しているに過ぎないにも関わらず、政治家、裁判所、法執行機関、ジャーナリストなどに対して暴力をふるうのを躊躇しないからです。言い換えれば、過激派たちは単に、あらゆる権力の部門をも含む社会を脅かすのが得意です。

 あくまでプロパガンダとしてなら「ゼレンスキーはユダヤ人だから、ナチスにはなれない」という念仏・マントラを好きなだけ繰り返すことができる。しかし真実は、過激派が、その民族主義的、至上主義的な策謀に反対する人々に対し暴力ふるうことを通じて、ウクライナの政治機構を支配しているのです。

 亡命生活を送っているウクライナで最も人気のあるブロガーの一人、アナトリー-シャリー(Anatoliy Shariy)のケースは、この点を説明する良い例です。彼と彼の家族は絶え間ない殺害の脅迫を受けているだけでなく、過激派は彼の党(2022年3月にゼレンスキーによって禁止された)の活動家を脅迫し続け、彼らを殴打し、屈辱を与えています。これをウクライナの過激派は「政治的狩猟」と称しているのです。


 原文は英語。翻訳は当ブログ管理者。このインタビュー記事は次回に続く。

 
 
 
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