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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年12月29日
  • 読了時間: 1分

 結局、東京オリンピックは有害無益だったとしかいいようがない。

 ただ、そんなことは誰だって最初から解っていた。それでも強行したのは何故なのか。意義が不明だし不可解だと言う人たちが少なくない。

 しかし、国民にテレビを見せたかったというなら、不純な動機ではあるが意味が理解はできる。


 国歌の歌詞を「ソ連」から「ロシア」に変えればいい。

 そうプーチン大統領が言い出したさい、反対する人もいた。新しく作るべきだと。

 また、音楽家のロストロポーヴィチは、体制を批判した小説家ソルジェニーツィンを擁護したため権力から迫害され不愉快だったから、その時代の国歌を起立して歌う気になれないと言っていた。


 しかし庶民の多数が支持した。

 あの国歌を聴くと誇らしい気持ちになるからだと言って。どうして、そうなるのか。なによりオリンピックの表彰式で米国の国歌とどちらが多く鳴り響くか競っていたのを思い出すからだ。

 それだけ、庶民ほどテレビを見るということだ。だいたい庶民はオリンピックをテレビで観ている。


 これと同じことで、だから東京オリンピックを強行した理由の一つではないか。



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  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年11月20日
  • 読了時間: 3分

 『ボヘミアンラプソディー』を観て感心したことは、よく似た人を探したこと。

 主人公のフレディマーキュリーをはじめクイーンのメンバーたちの他にデビッドボウイやボブゲルドフがまるで当人のように見えた。

 この劇中で英語の歌詞が変な日本語に聴こえてしまう「空耳」の有名な「♪エブリバディワシゃコケた~」とか「♪キラークイーンがんばれタブチ」とか出てきたけれど、ここからプロ野球のことで思い出したことがある。

      

 『がんばれタブチくん』という漫画があった。

 だから、そんなふうに歌詞が聴こえるのだろう。本当は「ガンパウダーゼラチン」(弾薬・爆薬)だが、漫画がアニメ化もして有名だから歌の語呂から連想してしまうわけだ。あの当時、ちょうど西武ライオンズに移籍した田淵幸一選手のことを笑い話のモデルにしていた。

 ここで、西武ライオンズ球場に近い西武池袋線の小手指駅が出て来る。実際の駅周辺とはまるで違う景色であったが、田淵選手は実際に小手指駅近くの西武が建てたマンションに住んでいた。通勤が便利ということだったのだろう。


 また、あのころ田淵選手は離婚と再婚をしていた。

 笑い者にされたから漫画を怒っているかと思われたが、田淵選手は読んだら面白かったと大らかに言っていた。ただ、私生活を知らないと描けないことがあって、誰が作者に教えたのかと思い疑わしい人を問い詰めたりしたが、実は離婚した元妻だったそうだ。あまり円満離婚ではなかったらしいと当時は言われていたから、これに納得した人もいる。

 そして女優のジャネット八田と再婚した。これも有名な話だ。


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 小手指の、近所では老舗の米屋に注文の電話が定期的に来たそうだ。

 そのさい、いつもの配達をまたと言って部屋番号を告げるのだが、そのさい新入りのパートのオバサンが名前を訊いたうえ、いつものことだから部屋番号で判ると言われたのにしつこく訊いたので、電話を切られてしまった。

 その意味が解らないオバサンは、後で店主に悪げもなく言ったところ、店主が驚いて失礼を詫びに言ったそうだ。これを同じ店で働く知り合いに聞いて、なんて気が利かないオバサンかと呆れたが、その話をした人は「芸能人だから」と言う。たしかに芸能人だからプライバシーを特に気にするだろうが、そうでなくても、いちおう相手がそれで解ると言っているのに訊くは気が利かない。通販ならともかく店と近所の得意先のことではないか。


 そんなことを観た映画から間接的に思い出した。

 だが、気が利かないのはオバサンだけでなく、他にも定年退職したジーサンなど電話の対応が酷いものだ。例えば、かつて飲み屋で働いていた時、店で深夜に客のためタクシーを電話で呼ぶ場合に、店名か店長の名義にしておいてと言っているのに、電話番の定年退職ジジイがどうしても客の名前を言えと食い下がる。頭にきて切って他のタクシー会社に電話かけたことがあるけれど、なんで主婦オバサンや定年ジーサンは駄目なのだろうか。

 また、この種の人たちほど、芸能人など有名人が客だと面白がって噂にして、場合によっては電話番号をペラペラと言いふらすから迷惑するはずである。だから田淵選手夫妻も言わなかったのだろう。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年10月3日
  • 読了時間: 2分

 アントニオ猪木が享年79歳とは、格闘家にしては長生き。

 だいたい格闘家は無理しているので短命である。前田日明というプロレスラーが講演をしたさい録音の起こしをしたことがあり、これが雑誌に掲載されたのを読んでくれた方は憶えているだろうが、そこで彼は、年齢的に遅く子供ができたので、それが大人になるまでに父親が存命か不安で、なぜなら格闘家は屈強で健康そのものだったのが六十歳代にあっさりと死ぬことがザラだから、と言っていた。

 それで、政治の話をするようになった。子供が将来を生きる社会について今のうちに語りたいからとのことだった。


 アントニオ猪木は政治にどこまで本気で関心があったのか。

 もともと「茶番劇」とは本来は悪い意味ではないそうだが、アントニオ猪木が都知事選に立候補し、小沢一郎らが推す磯村候補に対抗すると言い出したのは、NHKにいた当時の磯村にテレビで、対モハメドアリ戦を悪い意味で「茶番劇」と言われて怒っていたからだった。

 ちなみに、アントニオ猪木はモハメドアリから「ペリカン」と言われたが、元妻の倍賞美津子は、寝ている時に上顎と下顎の歯の間がやけに空いているので指を差し込んでみたら奥まで楽に入ったと言って笑っていた。


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 モハメドアリは猪木と他流試合するさい制限つけてきた。

 まったく異なった格闘では力が発揮できず不利だと考えたらしい。アントニオ猪木はハルクホーガンの技を食らって失神させられたことがあるけれど、ハルクホーガンといえばタレントとしての活躍も目立つレスラーで、CМやハリウッド映画に色々と出演しているが、そのうち『ロッキー3』では他流試合する場面があり、ここでハルクホーガンの傍若無人に怒ったロッキーがグラブを外して殴りに行く。

 だからモハメドアリがプロレスラーと闘うなら条件をつけるのも理解できる。


 高校の時にあった喧嘩の話。

 それは、ボクシングやっていて腕っぷしに自信のある奴が決闘を言い出したさい、こちらの仲間が勝手に受けて立つと言い出し、その代わり、そっちのリングに上がるのだからハンデがないと不公平だから条件があると付け加えた。ボクシング部の連中が「じゃあ、お前らだけヘッドギアつけていいぜ」と自信ありげに薄ら笑い浮かべるのに対し「いや、こっちだけグラブつけないでいいことに」と条件を出したら「じゃあ、やめよう」だった。

 とにかく、「相手の土俵に上がる」のは基本的に避けるべきことだ。

 これを訃報で思い出したのだった。

 
 
 
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