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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2024年7月22日
  • 読了時間: 2分

 蓮舫への攻撃が差別的だから王貞治のことを思い出した。

 王貞治は父親が台湾人で、実家はラーメン屋を営んでいた。少年時代の王貞治が出前の配達をしていたことは子供向けの雑誌にも乗っていた。彼の愛称が「ワンちゃん」なのは、王の発音が中国式だとワンだから。

 それで、片親が日本人ではないとか否定的に言う人がいて、テレビでもやっていたから、なんでことを言うのかと子供心に不当だと感じた思い出がある。



 それで初の国民栄誉賞を受けた。

 そもそも王貞治のために国民栄誉賞は設けられたのが始まりだった。プロ野球選手としての活躍と、努力家ということが子供むけに修身のような語られ方をしていた。

 それなのに、外国籍だったから勲章は不味いが、しかし国として何も讃えないとはいかず、国民栄誉賞が創設されたのだと言われたものだ。東京大空襲で民間人を大量虐殺したルメイ司令官には、戦後、航空自衛隊の設立に協力してくれたからと勲章を与えたのに。


 蓮舫も同じで父親が台湾人だった。

 それで、二重国籍とか当時の法律の問題でしかないのに、まるで本人の不徳の致すところであるかのように騒がれていたのは周知のとおり。

 そして差別的で嫌らしいこき下ろし方が横行していた。


 まったく、日本は相変わらず、ということなのか。

 何十年も経てば、さすがに改善するものだ、というのが甘い見通しだったのかもしれない。


  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2024年4月16日
  • 読了時間: 2分

 曙が心不全により54歳の早死にした。

 前から病気であることは知られていた。最近では植物人間状態らしいとも言われていた。相撲取りだけでなく、格闘家は長生きできない。これは昔から言われてきた事実だ。

 あのように無理をして、身体を打ち付けたりしてばかりでは当然だろうが、病気になるのは身体を造ることによって無理が祟るのだ。



 そもそも、大きく強い身体は、生命を維持するだけで大変だ。

 いくら鍛えることで身体が大きく丈夫になっても、臓器などの基本の機能まで強くなるわけではない。

 シュワルツェネガーなどボディビルダーで心臓を悪くする人は多いが、筋肉質な身体は血管も多くなり心臓の負担が増えるのではないかと思って、素人考えだが違うかと質問したら内科医がきっとそうだと言った。


 また、かつて大学でのこと。

 講師に来ていた他の大学の先生が言っていた。学生時代にスポーツをやっていたので、食事は一日に五回、それも大量のうえ精力が付くよう動物性を多く摂っていたから痛風になったが、それでも横綱と同じ病気になったのだと誇らしく思っていて、そうしたら更に悪化して大いに後悔したそうだ。

 このように食事でも身体に悪いことを当たり前のようにしている人たちがいる。


 これでは格闘家が長生きできないのも道理ではないか。

 いくら屈強でも内部から崩壊してしまうのが格闘家である。ちょうど、軍事大国が、その莫大な軍事費のため財政が圧迫されているようなものである。

 プロ野球が開幕した。

 その試合前の儀式に芸能人が登場し、国歌を唄ったり始球式で暴投したりする。国技でもないのに国歌なんてと言う人もいるし、プロ野球なんて所詮は「パンとサーカス」という指摘もされている。

 もっとも最近でパンが無くなってきて、ケーキどころかブルーインパルスでも見物して気を紛らわせよと政府が言っている。

 その問題は別にして、その国歌を芸能人が「斉唱」したと言う人たちが少なくないから滑稽である。



 こんなこと言うまでもないが、あれは「独唱」である。

 誰かが歌い手となって、それを拝聴するのだから。そうではなく観客らも一緒だと、一斉に歌う「斉唱」である。

 こういうことをインターネット上では「ネトウヨ」がやらかす。日本語を間違える自称ナショナリストという滑稽さだ。


 しかし政治家にも森喜朗もと首相という同類がいる。

 この人は、スポーツの壮行会で自衛隊の音楽隊に所属する歌手が唄っているのを選手たちが拝聴しているのに激怒し、なんで歌わないのかと勘違い非難のうえ説教し、外国メディアから「独唱」のアナウンスを聞き逃したらしいと言われていたが、国内では、彼のことだから「独唱」と「斉唱」の違いを知らないのだろうと言われた。

 こんな恥を、もと首相がさらした。


 文科省は学校で強制することを正当化している。

 あれは国際的なマナーを躾けるためと言っている。それなら、授業で教えるべきである。そうすれば正確だし政治的に中立でもある。

 そうしないのは、服従の道具に利用しているだけなのを誤魔化しているからだ。その証拠に、強制に特に熱心だった元文部大臣の森喜朗は、独唱も斉唱も解らず外国にまで恥を曝して平気でいるのだ。

 ここまで日本は落ちぶれたということである。

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