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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2023年8月31日
  • 読了時間: 2分

 タイムマシンで過去に戻れたら何をするか。

 という仮定の質問がある。そのうち、過去の自分に警告できたら何を言うかという問いがあって、これは後のことを知っていて教えるからカンニングの一種とも言える。

 ただ、カンニングとばかりも言えない。


 今この問いに対しては、害になる人付き合いをやめるよう注意する、と答える。

 これが同級生の場合ほとんど全員で、一人か二人の例外がいるだけだ。それくらい昔はババかだったわけだが、当時は気づかず後で判ったことを教えるならカンニングであるけれど、そうではなく当時の自分でも気づいていた。

 ところが、親と教師から交友を押し付けられた。これが最大の悪影響だった。


 かつて『はだしのゲン』を読んだ時のこと。

 読み始めて不可解なことがあった。主人公ゲンの父親が戦争を批判して迫害を受けるが、これが明確で理路整然としているから、そこまで出来るなんて一介の職人で庶民なのに難しいのではないかと感じた。

 読み進めていくと、父の友達が演劇人で、芝居の中で反戦を訴えた続けたため弾圧され死んでおり、その友達から影響を受けたのだった。これなら納得である。


 ゲンの父親は良い友達だった。

 多くは、都合が悪い時だけ友達と言い、弾圧されたら、その巻き添えは御免だと自己保身に走る人が多く、表立っては無理だが陰で出来るだけ助けるというのならまだ良いが、ひどい奴は信念を貫くなんてバカな奴だと嘲笑する。

 しかしゲンの父親は良い交友関係だったから、共感して迫害されても節を曲げなかった。そして、こうした真の友達付き合いを、親は理解できないことが多い。

 

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 とくに、うちの母親が酷かった。

 これは、大人の喜ぶ子供という上辺に直ぐ騙されるからだ。そして、いざとなると裏切る卑怯者だから避けていても、良い子だから仲良くしろと迫り、避けていても接近させることを何かとやらかしてくれる。

 だから、もしも当時の自分に説教できたら、親の話は聞いているふりだけにしておけと言うだろう。

 

 


 





 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2023年7月2日
  • 読了時間: 4分

 岸田首相のデタラメな安全保障政策に批判がある。

 これは防衛費を増額するばかりで安全保障としての中身が伴っていないからで、米国の軍事産業を大儲けさせれば気を良くした大統領が後ろ盾となってくれて、首相が自分の地位を維持できるという程度のことだから、日本の安全は蔑ろで、軍拡の費用のため庶民は重税に苦しむ結果にしかならず、批判は出て当たり前だろう。


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 これについて、もし次のように言う人がいたら、どう思われるだろうか。

 「でも、アメリカのご機嫌をとっておかないと危ないでしょう。ぶん殴られそうになっても何もしないなんて、おかしいでしょう。軍備がたくさんでないと外国に舐められちゃう。侵略されたら奴隷にされるうー」

 まるで頭の中が小学生の発想と言葉づかいであるが、それが高校の同級生だった。一事が万事この調子で「ご機嫌をとっておけばアメリカが守ってくれると思うのか」と訊くと「ぼくは政治に関心が無いの「無いものは無いの」という。だから権力者の言いなりになって唯々諾々ということだ。税金にしても、働いて強制的に納めさせられる税金の使い道にも関心が無いというのは、親の庇護を受けている子供である。

 そういう生き方の人もいるし、運が良ければそのまま成人しても何とかなる人と場合がある。しかし、高校生になって、まだこれでは情けないと思う人も少なくないだろう。

 

 この人は病気で、他にも色々と変だった。

 だから高校に入ったところまでは良かったが、学校の勉強も出来ずに留年して更に赤点で追試を受けるなど難儀していた。その影響の一つとして社会への無関心があった。

 それは親と教師が取り組む問題である。なのに、この人の世話を担任教師に押し付けられてしまい、非常に困った。一緒に勉強して向上できず足を引っ張られるばかり。学校当局の横暴を批判して一部の教師と対立すると、そんなことに関心を持つのが悪いと非難してくるなど、何かと無気力に引き込もうとする。

 また、嫌な奴だと評判の同級生から侮辱的なことをされても我慢しているというより不感症で黙っているから、その嫌な奴に注意すると、当人が自分は気にしてないと言ってしまう。それで嫌な奴からこっちが攻撃を受けてしまう。本人が良いと言っているのだから注意するほうが悪いのだと言われて。


 とくに困るのは女子からの苦情だった。

 なんで、あんな醜い男と付き合っているのかと言われてしまう。たしかに不細工な男であった。それで、女子としてはこちらに好意を持って声をかけようとしても、醜い男と一緒にいるから躊躇ってしまうという。

 それでも声をかけてくる女子がいて、すると醜い男が会話に割り込んだうえ小学生みたいなことを言い出して妨害するので、女子は逃げてしまう。自分が女性に全く関心が無いから、そういうことをする。異性への関心は小学生の高学年の水準にも達していない発育不良だった。


 他にも、学校行事などへの対応が正反対だった。

 こっちは文化祭や生徒会など積極的だったのに、彼は消極的どころか無関心と嫌悪感であった。


 ところが担任教師は、そんな彼を生徒の中で最も高く評価していると言う。

 そして、お前は駄目だと貶める。従順なのが最高だから、担任教師としては評価していて、成績が悪くて進学できなくても良い所に就職させてやろうと思っていると言う。

 これに別の人が言った。「お言葉ですが、それじゃロボットじゃないですか」真にその通りだ。

 この教師は田舎者だから馴れ合いが普通だと思っていて、それが度を越しているのだと、最初は思っていた。ところが後に判明した。いくらなんでもロボットが良いだなんて、そんな非常識ではなかった。実は出来損ないの生徒をなんとか卒業させるため、同級生を利用する意図だったのだ。彼は人付き合いが全然だめな人だから誰か相手にしてやらないと不登校になってしまうと危惧し、同級生に御守りさせたのだ。そして御守り役に耐え兼ねて彼とは付き合っていられないと言うと、嘘で言い包めた。ロボットが良いのだと。


 卒業したさい、彼の母親から「世話になったね」と言われた。

 しかし高校の大事な時期に失ったものは大きかった。一部の教師に利用されただけだった。あれは自分が甘かったということで、反省している。自分が大事ということもあるが、それより重要なことがある。能力が無いのは仕方ないとしても、だからと権勢に媚びる人は相手にしないことだ。それを再認識しているが、それは岸田首相の御陰様である。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2023年5月25日
  • 読了時間: 2分

 高校の時に修学旅行に行かなかった。

 同級生たちには病気だと嘘をついていた。だから気の毒に思ってお土産を買ってきてくれた人たちがいたので、騙して気の毒なことをしたという気持ちだった。


 修学旅行は広島に行く高校が周囲では多数だった。

 そして記念館などを見学していた。地域で他の高校に行った中学の同級生に話を聴いた。ところが、うちの高校は違った。ちょうど先日のG7で広島を戦争プロバガンダに利用したうえ記念館など原爆禍や平和を訴える施設は無視だったので被爆者などから批判があったけれど、それと同じことだった。


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 そのことで抗議したら教師から生意気と言われた。

 それで修学旅行をボイコットした。担任の教師が怒って、担当している教科の単位をやらないなどと言って繰り返し脅したが、それより退学処分にすればいいのに、なんで半端な圧力をかけるのかと疑問だったが、おそらく教師としても後ろめたかったのだろう。


 親からは先生の立場を考えろと言われた。

 たしかに、そもそも立場があるから、地元にある右翼的というかファッショ的というかの雰囲気で、他所と違い広島に行かなかったのだ。そういう自己保身ばかり気にしての立場などまさに糞くらえというやつだ。

 これは教師の中でも理解していた人がいた。ところがうちの親はインテリジェンスとかいう水準とは次元が異なる「パッパラパー」だった。だから逆に一部の教師から同情してもらった。

 それで治まった。


 だが、やはり退学処分にしてくれたほうが、ありがたかった。

 同級生たちにしても、病気だと噓ついたのは本当のことを話たところで理解できないのが解っていたからだ。交友の意味が無い。それも気持ちに影響していた。

 
 
 
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