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  • 執筆者の写真井上靜

裁判所に来ていくスーツ

 実話に基づいたハリウッド映画『エリン・ブロコビッチ』の場面でスーツの話がでた。

 有害物質の垂れ流しによる汚染事件で、深刻な健康被害を受けた住民に雇われた弁護士に対し、大企業に雇われた弁護士たちは「虎の威を借りる狐」の態度であった。

 そのさい着ていたのは黒くて威圧感のあるスーツで、主人公エリンらは相手方の感じ悪さに、あんな服装は商売柄だろうと言う。



 

 ところで2日に初売りをする店がある。

 そのうち紳士服のチェーン店は毎年恒例としている所がある。拙宅の近所にもあるので、今年は見に行った。店員が、体型を一目見て何型の何号ではないかと言い当てたから、さすがプロだった。

 そして裁判所に来ていくスーツを探している、と言った。今までは裁判所にも洒落たスーツを着て行ったが、やはり威圧感のある黒いスーツにしようと思う旨を話した。そして、ちょうどよいのがあったので買った。


 このさいの話で、黒でも喪服とは違うとのことだった。

 ただ見ていると黒い服も、喪服を着た人と一緒にいると黒く見えなくなる。たしかに、そういう場違い体験をしたことがある。

 一方、結婚披露宴では堅苦しくなくてもいいので楽だが、スピーチして欲しいと言われることがあるので断っている。面白い話をしてくれと言われても、自分が話すと大島渚の映画みたいになってしまうから、と言うことにしている。そうすると誰も頼まない。


 ネット通販は駄目だと言う人たちがいる。

 まず、身につけるものは寸法が合わないことがよくあるので避けると言う人たちがいるけれど、それはまだ細かく測っていれば対応できることで、ほんとうの問題は見た感じであるということだ。実物は写真と違って良くないことが多い。

 これについて、店で働く人が言うには、写真だと実物より良く見えるそうで、そう写すためにカメラマンが撮るからではなく、どんな撮り方をしても着て写真を撮ると必ず実物よりよく見えるのだそうだ。


 そういう次第で威圧感のあるスーツを購入した。

 もちろん裁判所に何を着て行っても良い。知り合いの弁護士が言うには、弁護士は依頼人のために堅い服にしているそうだ。

 和服でもいい。先日、傍聴に来た方は着流しだった。

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