top of page

自衛隊は国民ではなく国家を守る

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2023年3月8日
  • 読了時間: 2分

 「国家を守る公務員」

 という自衛隊のポスターについて、偽善でもいいから、国家でなくて国民を守るとは言えないのだろうかと疑問を呈した人がいた。


ree

 でも、国と自衛隊はあの「恵庭事件」の裁判で、自衛隊が守るのは国であって国民ではないと公式に表明している。

 右派に崇拝者が多い司馬遼太郎でさえ、自身の経験からして軍隊が国民を守るどころが、国家を守るどころが、軍隊は軍隊を守るものだと指摘していた。


 また、かつて『朝まで生テレビ』が始まって早い時期のこと。

 この当時はまだ真面目にやっている時があって、このとき一般視聴者のなかに制服を着て(外出の規則だから)やってきた防衛大生が、自分たちの国民を守ろうという意思を信用できない人は不可解という趣旨の発言をしたが、もちろんそんなのは嘘であり、なぜならそれを否定する教育を自衛隊は一貫して実施してきたからだけれど、この時たまたま出ていた一人の映画監督長谷川和彦氏が、それが善意だとしても、自衛隊に限らず不可能なことだと指摘していた。

 またアメリカでも「軍隊が個人を守るのはハリウッド映画の活劇だけ」と軍の関係者すら言う。


 かつて飯干晃一氏は、話題になった『仁義なき戦い』について述べていた。

 もちろん彼は暴力団員だったことはないので体験談は書けないし、新聞記者だったから取材して書いたけれど、ヤクザ当人には取材しなかったそうだ、なぜならヤクザは本当のこと言うわけがないし、親分が言えば子分は嘘でも従うものだからだ。なにより、そういう世界について描いたということだ。

 これと同じことは警察や自衛隊や海保にも言える。勤務していたから知っているというのは正しいとは限らないどころか、嘘のほうが多い。それらに人権侵害を受けた市民が多いので嘘は簡単に嘘がバレて来たものだ。それを権力がメディアを道具に利用して言い包めているだけである。


 つまり、むしろ暴力団より警察や自衛隊や海保のほうがタチが悪いとすらいえる。

1件のコメント


ゲスト
2023年3月08日

 自衛隊の統合幕僚会議議長栗栖弘臣は2000年に出した『日本国防軍を創設せよ』で、「自衛隊は国民の生命、財産を守るものだと誤解している人が多い。政治家やマスコミも往々この言葉を使う。しかし国民の生命、身体、財産を守るのは警察の使命であって、武装集団たる自衛隊の任務ではない。自衛隊は国の独立と平和を守るのである。警察法と自衛隊法に書いてある。『国』とは、わが国の歴史、伝統に基づく固有の文化、長い年月の間に醸成された国柄、天皇制を中心とする一体感を享受する民族、家族意識である。決して個々の国民を意味しない」と明言していますな。

 で、沖縄戦の血の教訓は「軍隊は国民を護らない」「軍隊は国民を殺す」なわけです。このことは自衛隊になっても変わらず、現在の先島他への自衛隊対中ミサイル基地新設・増設でも統一自民党政府自衛隊側は「自衛隊には住民を護る余力はない。我々は地下基地に籠ります。そもそも住民保護の責任は法制上、当該自治体が負ってますんで」と抜かしてますね。

 独立戦争、向こうではアメリカ革命というそうですが、で国を作った米国人は民主主義とそれに基づく国の在り方を独立宣言や憲法に表しそれへの説明を大量に発表しました。そこでは(1)政府、権力者は必ず主権者国民を裏切る(2)国軍は国民にとって危険な存在(3)主権者国民は絶対に政府、権力者を信用せず、常に疑いの目を向けよ。信頼は独裁の母だ(4)主権者国民は武装し、政府、権力者が舐めた口を叩き舐めた真似をしたら、基本的人権、主権の行使、正義の実践として革命の権利を行使しろ(5)連邦軍に国内で実力を行使することを禁じる(6)出版を含む言論の自由は民主主義の前提条件。「新聞なき政府」と「政府なき(無政府状態)新聞」では後者を躊躇なく選ぶのが真の米国民だ、といったことが説明されました。

 日本は世界でも極めて珍しい、独立戦争も民主化闘争も市民革命もしたことのない国です。日本が独裁だの権威主義だのと言って罵倒中傷制裁する国々でも、すべて人民が死屍累々の武闘によって主権をぶんどった歴史を持ちそのことが国の中核でありいわば「國體」になっています。日本民が「文科省検定済みのインチキ民主主義観」「クレンジングされた民主主義観」しか持てないのは、自らの手で主権を掴み取った経験がない、いわば「肉感としての民主主義」を持たないからでしょうねえ。山田太一は『獅子の時代』で秩父事件が失敗してしまったことと明治政府が「成功」してしまった、臣民が「成功」させてしまったことを哀惜の念を込めて描いてましたが同感なのであります。

いいね!
  • twitter

©2020 by 井上靜。Wix.com で作成されました。

bottom of page