石原慎太郎も田中康夫も元は手書きだった
- 井上靜

- 2022年2月3日
- 読了時間: 3分
東京と大阪の知事が無党派の期待を集めた。
ところが東京都知事の青島幸雄と大阪府知事の横山ノックは、相次いで有権者を落胆させた。それで東京都知事が石原慎太郎に、大阪府知事が橋下徹に、という反動となった。青島と横山どちらも市川房江の弟子である。市川房江も格好つけて不見識な偽物だったから、もう一人の弟子である菅直人にも期待できるはずもなかった。
一方で長野県知事が田中康夫で何かと話題だった。
田中知事は、石原知事を外国記者クラブの会見で「カワード」と評した。臆病というような意味である。自民党は、田中知事について、セクハラで辞職した横山ノックのようになると攻撃していた。その根拠とは田中康夫が雑誌に下ネタで描いていたからだ。たったそれだけでは根拠が乏しいが、しかも題名について『ペリグロ』と言っていた。『ぺリグリ』の間違いである。これは結構いやらしい言葉であるが、しかし石原知事だって『太陽の季節』で石原チンタローと言われていたのに、大した違いではないだろう。
石原慎太郎がワープロを使っている様子がテレビに映ったことがある。
もともと小説家として石原慎太郎は、セーラーだったと思うが、とにかく和製の万年筆で書いていたらしい。欧米の万年筆は横書きを前提にしているから縦書きには向いていない。また漢字で字画が多いと細かくなるので、和製またはジンハオとか英雄とか中国製が良い。自分は何かとドイツ贔屓なのでペリカンを使っているしモンブランも持っているが、日本語の手紙などは主にペンテル(ペン先はセーラー製)を使用している。

田中康夫はサインペンで書いていた。
テレビで万年筆の話題が出たさい、田中康夫はサインペンだと滑らかで使用が気楽だと言っていた。たしかにそうで、何より安価である。高い万年筆は書いていて疲れないし線のうねりも華麗であるが、今ではパソコンやスマートホンより高額である。だが、高い万年筆ほど古くなるにつれて書きやすくなり、字も美しくなる。
前に出版社の打ち合わせで万年筆を使っていた。
そのさい、滑らかで早く書けるから使っていたら、出版社の社長が見て「それモンブランだね。ちょっと書かせて」と言うので貸したら、スラスラと書いて「これは書きやすい」と言っていた。同じく同社に寄稿している大学名誉教授が言った。「たまに手書きしないと字を忘れてしまう。電卓を使って計算してばかりだと、頭を使って計算できなくなってしまうように」と。
なんであれ、たまには手書きの筆記具を使ったらいい。ワープロのデーターにするのは編集と印刷に好都合だからだ。しかし石原慎太郎も田中康夫も、もともと手書きであった。



コメント