河瀨直美の五輪残酷物語
- 井上靜

- 2022年1月23日
- 読了時間: 2分
東京オリンピックに関して、スポーツの選手と元選手たちの態度。
良識をもって、社会的な見地から発言する人たちが少数ながらいるけれど、目立つのはバカ騒ぎ翼賛である。目立つのは多数だからとは限らない。多くの人は黙っている。
これについてスポーツ推薦で大学に入った人に訊いたことがある。
なにもかも補助金のためだと言う。そうでないと活動できない。だから大学では当局の御用学生だし、社会に出ても権勢に媚びる。
ちょうどオーケストラと同じである。そうでもしないことには何もできない。このため積極的に醜いことをしている人たちがいるけれど、その人たちは恥知らずで、多くの人たちは沈黙を強いられているという。
しかし、それで当然のことだと思い込んでいる人が多いようで、そのスポーツ推薦で入学した人も、媚び諂いに疑問をもっていなかった。
映画の製作でも同類項の人がいる。
その最たる人は河瀨直美監督である。いつも製作費で困るから、国の補助金が欲しいと政治家に言って、そのたびに媚びている。だから映画の内容も、日本を世界に知らせたいからだと言って、ホラーではないオカルト映画ばかり撮っている。
しかし、権力にすりよりオリンピックの記録映画を撮ることでレニ-リーフェンシュタールのようにしたかったのだろうが、あのNHKで放送したデタラメ記録映画からするとヤコペッティであった。あの記録映画は自分の作品のはずだが、それをNHKが勝手にやったかのような態度で「残念」と言っているのだから、まるでヤコペッティが『世界残酷物語』の内容を残念だと言っているようなものである。

ヤコペッティのスタッフが作った『グレートハンティング』が世界で大ヒットした。
これは野生動物の生存競争がテーマだが、そのうち最も話題だったのが、サファリパークで観光客がライオンに食い殺されるショッキングな場面である。男性がカメラを構え撮影に夢中になっていて、ライオンに接近しすぎてしまい襲われる。たまたま居合わせた他の観光客が撮影していたけれど、そこで動揺したようにカメラが揺れるのがわざとらしく、さらに悲鳴をあげる家族の女性が一瞬チラッと映ったりしてヤラセ臭い。
この動画は、犠牲者の重過失を指摘して保険会社が保険金の支払いを拒否し、遺族と裁判になって、証拠として提出されたものが流出した、というナレーションのもっともらしい説明が逆に嘘臭かった。
この懐かしい映画を、河瀨直美のNHK五輪「ドキュメンタリー」映画により、久しぶりに思い出したのだった。



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