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戦争映画大作の製作者エルモ-ウイリアムズ

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2021年12月16日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年12月18日

 映画『トラトラトラ!』で日本の機動部隊が雨の中を進む場面がある。

 真珠湾攻撃のため隠密行動でハワイへ向かい、この悪天候のため敵の哨戒機から発見されないが、敵の哨戒機からも発見されない。しかし要注意なのは潜水艦だと南雲中将が言う。荒天の下の海を進む空母はミニチュアセットの見事な特撮である。


 この映画は戦記物というより特撮映画という定義だった。

 それで監督は『ミクロの決死圏』『海底二万マイル』のリチャード-フライシャーという起用だったと、監督自身が言っていた。

ついでに、『ミクロの決死圏』は映画で納得できないことがあり、例えば白血球に包まれた潜水艇がどうなったのか不明だったりするのだが、これをアイザック-アジモフの小説ではきちんと解決して描かれている。

 それはともかく、『トラトラトラ!』は特撮映画なのに、戦争になるまでの政治的な駆け引きを細かいところにこだわって描きすぎていて、これが上映時間の長いわりに見せ場が少ないという欠陥の原因だろう。


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 また、日本側を監督する黒澤明と齟齬があって解任というのも話題だった。

 これには色々な事情や憶測が出ているが、その一つとして、監督は現場を仕切って撮影するまでが仕事で、あとの編集は口出しできないというのがハリウッド映画では普通なのだが、これに独特な編集で知られる黒澤明としては納得してなかったらしい、などと言われる。

 しかも製作のエルモ-ウイリアムズはもともとフィルムの編集者だった。それが製作者となって『史上最大の作戦』『ブルーマックス』という戦争映画の大作を手掛け、この成功で『トラトラトラ!』も、という次第だった。


 フィルムの編集者といえば身内にいる。

 そのうち特撮映画といえば東映の「戦隊シリーズ」を手掛けていた。その道に誘われたけれど話に乗らなかった。そして脚本を書いたりしてもモノにならず、評論などを細々と書いてきた。

 それで、真珠湾攻撃の日になると映画も話題になり、人生の選択を間違えたかと考える。ただ、あのときは他にも色々と考えることがあり、また、仕事でも人間関係でも上手くできなかったらと心配だった。

 もちろん、編集者から超大作の製作者というのは稀な例外であるから同じようになるわけがないが、かつての自信の無さを情けないとは思う。

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