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平和主義者がウクライナ戦争についての誤解に答えるための簡潔な質疑応答

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年9月29日
  • 読了時間: 7分

更新日:2022年9月29日

 ウクライナでの戦争は全世界を揺るがしており、議論を煽ることに失敗していません。欧米では、NATOのプロパガンダが遍在しています。それは、善と悪の闘いという構図を作り、善の勢力が勝利するように支援し、武装援助する以外に選択肢がないと思わせることでしょう。

 平和主義者にとって、このような状況下で戦争太鼓の喧騒を克服することは困難です。しかし幸いなことに、9月初旬、コードピンク、World Beyond War、平和と自由のための女性国際連盟などのさまざまな団体を集めたウクライナの平和のための会議の前夜に、マーシー-ウィノガードという人が、戦争支持者が論う主な主張を徹底的に論駁するための回答を、質疑応答のような形で上手く提案しました。




●ロシアのウクライナ侵略は不当であり、挑発もされなかった。


  国連加盟国は「いかなる国の領土保全や政治的独立に対しても武力行使」を控えなければならない。これを当てはめるなら、ロシアのウクライナ侵攻は、国連憲章に違反する不当な戦争ということになる。

 しかし、その前にアメリカ合州国が、好戦的な軍事同盟NATOの拡大を支援し、民主的に選出された大統領の打倒を狙ったクーデターを支援し、2014年以来、ウクライナに武器を送ることで、ロシアのウクライナ侵攻を誘発した。これは、ロシアの視点からすると、ウクライナが武装駐屯地のような実存的脅威に化したと見えるのである。


 NATOの背景

 ソビエト連邦が崩壊しつつあった90年代初頭、NATOは解体されるべきだった。

 ジェームズ-ベイカー国務長官は、ソ連の指導者ゴルバチョフに、NATOは「東に1インチも進まない」と約束した。

 それにもかかわらず、クリントン、オバマ、トランプの各大統領の下で、NATOは、ソ連崩壊時の12カ国から、ノルウェー北部、ラトビア東部、エストニアから、ロシアのカリーニングラード地域周辺のポーランドとリトアニアまで、ロシアと国境を接する国を含む30カ国に拡大した。

 そこでプーチン大統領は、ウクライナのNATO加盟について、ロシアにとって実存的脅威をもたらすので決して越えてはならないレッドラインであるという認識を明確にした。しかし、アメリカ合州国に唆され、2019年、ウクライナは、NATO加盟の公約を憲法に明記したのだ。


● プーチンと交渉することはできない。交渉は決してどこにも行き着かないだろう。


 もしプーチンとゼレンスキーが、ウクライナの穀物輸出の流れ、捕虜交換、原子力発電所の国際査察を交渉することができれば、この戦争の終結を交渉できる。

 実際、ロシアとウクライナは、3月にトルコが仲介した15項目の和平計画に既に合意している。ロシアは、ウクライナがNATOに加盟しないことに同意し、中立の立場を採用したのと引き換えに、侵攻前にはウクライナ政府が支配していた地域から撤退することに同意した。

 ところが当時のイギリス首相ボリス-ジョンソンがキエフを訪問し、ゼレンスキーに会談を断念するよう説得し、イギリス、アメリカとNATOはロシアに「圧力をかける」機会を見出し、それを最大限に活用したいと彼に語ったとき、詳細を解決するための交渉はレールから外れた。


 ロシアによるウクライナ侵攻に先立ち、ロシア・ウクライナ両国は2015年のミンスク合意、停戦、ドンバスでの選挙実施の約束、地域の半自治を確立した和平合意に署名した。するとアメリカがウクライナに、2014年からNATO加盟を奨励し、ネオナチ民族主義者とロシア語を話す少数民族の分離主義者との間でウクライナ東部の内戦を煽り、何十億ドルもの武器を提供したので、協定は失敗した。


 かつて米国はソ連と軍備管理条約「START」を交渉したが、これは現在も有効である。この条約は、アメリカ合州国とロシアが配備できる核弾頭の数を1500発に制限している。

 さらに、中距離核戦力(INF)条約が、アメリカ合州国とソビエト連邦に、全ての核ミサイル、地対地弾道ミサイル、そして最後に射程500から5,500キロメートルの巡航ミサイルを破壊し、永久に放棄するよう要求した。超大国が核兵器を削減し、核兵器の全カテゴリーを廃絶し、検証目的で徹底的な現地査察を実施することに同意したのは初めてのことであった。

 この結果、米ソは合計2,692発の短距離・中距離ミサイルを廃棄した。しかしトランプ政権の下で同条約は放棄された。この条約の再確認を拒否したのは、ロシアではなくアメリカのほうだった。


● 外交的解決を交渉すれば、侵略に対してプーチンに報いることになる。


 彼にとって、どんな得があるのか。国防省は、ロシアが2022年8月の戦闘で60,000〜80,000人の男性を失ったと推定している。それは報酬とは言えない。


 しかし外交協定を交渉すれば、米国の納税者に報いることになる。[編集者注:これは、戦争による経済危機によって大きな打撃を受けたヨーロッパ人にも当てはまります]


 米国は昨年、この紛争を煽るために400億ドルを費やし、インフレとヨーロッパおよびヨーロッパにおける経済的供給の減速につながり、だから最近7万人がチェコスロバキアで行進し、ロシアに制裁を課さないよう要求したのだ。400億ドルあればアメリカ合州国にとってどんな使い道が出来るのか?国家優先プロジェクトの仲裁計算機によると、この同じ金額は、1年間にわたって、次のサービスの支払いに使用することができる。


350,000人の看護師

43万人の小学校教師

100万の大学奨学金


 それなのに、戦争が長引けば長引くほど、戦争は何年も何年も続く可能性が高くなり、ウクライナでより多くの死と破壊をもたらし、気候危機を悪化させ、中東とアフリカで飢饉を引き起こし、経済を混乱させ、核戦争の瀬戸際に追いやるのだ。


● ウクライナの運命を決めるのはアメリカ合州国ではない。


 しかし既にアメリカ合州国は、この戦争を激化させ、アフリカと中東の何百万人もの人々を飢えさせ、気候危機を悪化させ、インフレを急上昇させ、二大重武装核国間の核戦争の危険を冒すために、過去六ヶ月間に、400億ドルから500億ドルの兵器と軍事援助、あるいは一日に1億1000万ドル以上を送金することで、ウクライナの運命を決定してしまっている。

 科学者の指摘によると、米国とロシアの間の核戦争は、50億人つまり人口の60%の死をもたらす可能性が高い。生存者は、太陽のない冬や氷点下の気温の下で飢餓に苦しむでしょう。


 我々は現在、世界の核備蓄の90%を保有しているアメリカとロシアの両国間で、直接戦争と国境を接する国での代理戦争を目撃している。何が何でもアメリカ政府は、一極世界に対する支配を維持したがっているからこそ、米国議会とホワイト-ハウスは、ウクライナにロケット弾とミサイルを送り、ロシア艦船を沈めるための諜報情報を提供するのだ。これは民主主義対独裁という問題ではない。世界的な支配を目論む米国という問題である。


 和平交渉における外交的合意を国際世論が支持することで米国の対応がどうなるかは、この戦争を引き起こした国の側にいる我々にかかっている。


●我々は、ウクライナの自決権を支援するために、ウクライナに武器を送り続けなければならない。


 問題は誰の自己決定なのか?である。

 過去十年間、アメリカ合州国は、ロシアに最も同調する東ウクライナ国民が、自決権を行使するのを妨げて権利を弱体化させてきた。アメリカは平和を促進するためのMINSK II合意の実施を支持するのではなく、右翼ナショナリスト・ネオナチ勢力と同盟している人々と、ロシアと同盟している人々との間の、東部での戦争を煽るために、何十億ドルもの武器を提供してきた。また2019年、ウクライナは公共部門の労働力におけるロシア語の使用を禁止する法律を可決した。この法律はまた、テレビや映画の配給会社に、コンテンツの90%がウクライナ語であることを保証することを要求した。


 ドンバスでの内戦は、ロシア侵攻の前に14,000人が死亡しているので、紛争は2月24日に始まったのではなく、2014年以来続いていることだ。

 自決権に関して言えば、世界は死よりも生を選ぶ権利があり、この戦争が長く続けば続くほど、全世界へのリスクは大きくなる。


●これは独裁と民主主義の間の戦争であり、我々は世界中の民主主義を守らなければならない。


 アメリカ合州国に民主主義の様相がいくらかあるのは事実で、たしかに一部の人々なら投票はできるが、その民主主義を守るためには、ネオファシストが、投票権を制限したり、国会議事堂を襲撃したり、人種的憎悪を広めたり、中絶禁止を支持して女性が自らの身体をコントロールする手段を奪ったり、協力しない医師を迫害する法律を作ったり、するのと闘うところから始めなければならない。

 つまり、ウクライナの腐敗した政府とネオナチを守るために納税者のお金を奪うのではなく、アメリカ国内で民主主義を守ることに注意を集中させるべきだ。

 さらに、報道の自由は、ロシアとウクライナだけでなく、ここアメリカ合州国でも攻撃されており、バイデン政権はトランプ政権を踏襲し、イラクとアフガニスタンでのアメリカ戦争犯罪を公表したために亡命したジャーナリスト=ジュリアン-アサンジの引き渡しを主張している。もしアサンジが引き渡され、起訴されれば、アメリカ合州国中の全てのジャーナリストに萎縮効果をもたらすだろう。報道の自由なくして民主主義はない。


オリジナルソース:『戦争を超えた世界』

ミシェル-デュランによる英語からの翻訳 (Investig'Actionより)

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