子供が戦争を肯定するのは父親の影響
- 井上靜

- 8月5日
- 読了時間: 2分
更新日:8月13日
NHKの子ども番組で日本の中国侵略について言及されたことに対してSNSの反応。
反論というより激しい罵倒だった。戦争があった現地での個々の事象に対する意見ではなく、大雑把に「侵略ではない」と声高に叫ぶ。
そんなことは岸信介だって中曽根康弘だって言わなかった。
では反論している人々の根拠とは何か。
開戦の詔勅だったり、東南アジア諸国の一部の政治家の発言だったり、帝国主義的情勢からの正当化だったりで、中国ではなく朝鮮半島に関しては、植民地ではなく併合だとか、いいこともした、などなどもう20年、30年前から議論しつくされ、ネット上でもさまざまな史料から否定されているものばかり。
そんな話をしている人たちが増加して、国会議員にまでなった人がいる。投票した人達がいるからだ。
でもこれは昔からのことで、今はSNSに反映して解かり易くなったという違いだけだろう。
こういうのは、自分が子供のころから後に話を人から聞いた話まで共通して、まず間違いなく、お父さんが言うからそうだと子供は思うのだ。学校で教えても報道されても親父が頭ごなしに否定し、教師やマスコミはアカだから信じては駄目と言う。まともに根拠なんかない。自分の頭で理解できないとか、権勢に媚びる癖がついたとか、お粗末な事情だ。
そんなお父さんは反知性主義者なもので、そんな者たちがいることに世代差は無いのだ。世の常である。

子供が成長して後から気づく場合もある。
そして父親にその誤りを指摘すると、不快感を露にする。子供がちょっと勉強したら、それを生意気だと感じるからだ。
しかし反知性主義は再生産される。そんなお父さんがいるのは、そのまたお父さんがそうだったからなので、同じようにして子供に受け継がれてしまう。
つまり時代の変化などではないし、戦争の記憶が時間の経過とともに薄れてきたためでもない。ただ、水は低きに流れるというだけのことだ。だから嘆くのではなく、そんなことがあるというのを当然の前提として念頭に置いておくべきことなのだ。



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