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原発事故とコロナウイルス新型肺炎

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2021年3月11日
  • 読了時間: 2分

 「ケネディ大統領が暗殺された時に、自分が何をしていたかを憶えている人は多い」

 というのはサスペンス小説『オデッサファイル』(フレデリック=フォーサイス作)の書き出しだが、東日本大震災の時にも、自分が何をしていたか憶えている人は日本なら多いはずだ。

 しかし、その後のことになると、不明であるとか認識していないとか、そういうことになっていないか。言われてみれば、物流の混乱によって店の食料品が無くなり困った、などと思い出すだろうが、それより今はコロナウイルス新型肺炎への心配から、なるべく店に行くことを避けようとか、そちらの方へ意識が向いているはずだ。


 あのあと原発事故が発生し、ついに起きてしまったと思うと同時に、これで懲りたから原発は止めようという機運が高まった。

 そして、デモのさい居合わせた制服警官が横断幕を一緒に持って歩く様子が微笑ましく報じられもした。ただ、そのうち警察組織の上層部から「お達し」があって、そんなことはできなくなり、それだけでなくデモや集会を監視や規制するようになるだろうと予想され、これは的中した。

 さらに、事故の被害は隠蔽され、御用学者が荒唐無稽で強引な否定をする。事故は収束したからと買収で誘致した東京五輪を復興の証にするという宣伝が大金かけて実施され、そのプロパガンダムービーまで製作されて派手に騒ぐ。こんなことに浪費する金があったら被災者の救済に使うべきだという正論は圧殺された。


 そうなると、次はコロナウイルス新型肺炎でも同じことになる。

 やはり原発事故と同様に、コロナウイルス新型肺炎を克服した証として何としてでも東京五輪を開催すると息巻いている。風邪をこじらせた人を寒中水泳大会に、心臓病の人をマラソン大会に、出場を強制して「病気に勝った証にしろ」と死者を出すことは昭和の時代では普通にあって、死んだ者は耐えるだけの「根性」が無かったと信じ込むものだった。それと同じことで、日本がいかに進歩してないかの証左である。

 そのうえ業界の利権が優先だから、旅行に行けで感染拡大だが、この次は製薬会社のために、とにかく新薬は効いたことにして、副反応被害は無いことにするだろう。


 『オデッサファイル』は、ナチスの残党が暗躍していることからドイツ人は本当に戦争を反省しているのだろうかと疑問を持つところから始まるが、この点では当時のドイツとつるんで戦争した日本の方が深刻で、だから原発事故でもコロナウイルスによる新型肺炎でも、失敗から教訓を得ず同じ誤りを繰り返すことになるのだろう。



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