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公害訴訟と裁判官忌避

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2023年2月20日
  • 読了時間: 3分

 いま、きっかけがあって公害に関する書籍を読んでいる。

 それら公害訴訟では、原告が健康を害しているため被告企業側が訴訟の引き延ばしを謀っていた。被害者が死ねば良いということだ。

 このため、あの手この手を駆使するから無用で卑劣な引き延ばしだと批判される。ところが、この意味をきちんと知らない法曹人がいる。引き延ばすなら何のためか。それが無いと無意味なのに、いたずらに「引き延ばし」だと言ってデタラメな非難を相手方に浴びせる。


 例えば医療裁判である。

 これも公害と同様に患者は健康を害しているのだから、引き延ばしを謀るのは医師の側である。

 ところが、あの、元高裁判事で退官してから政府関係の仕事をしている田中清弁護士(東京弁護士会・銀座ファースト法律事務所長)は、第三者の立場からの客観的な専門医の鑑定を無用だとし、なぜなら鑑定なんて患者の敗訴が確実なので引き延ばしているのだと言っていた。堂々と文書にまでしていた。何種類もの文書で、中には侮辱的な文言のものを患者にファックスを送り付けもしていた。

 つまり常識とは逆なのだ。


 しかし、むしろ滑稽なのは、なぜ患者の敗訴が確実なんて言うかの訳である。

 それは、被告の医師が日本の第一人者であると自称しており、そんな人が言えば総て正しいという主張だったことだ。

 もちろん「第一人者」というのは当医師の年齢やキャリアからして普通の常識を持っている者からすれば虚偽であると判る。仮に第一人者でも自分の誤りだと問題にされたら、自分で抗弁するだけでは信用できるわけなく、中立的な第三者の専門的な意見を訊くのは当たり前である。

 それなのに、ということは拙書『防衛医大…』(ホームページ参照)に記述したとおり。


 ところが、である。

 最初は、医師が妄想虚言のようなことを語っていると思った。だが、医師たちからすれば違うと言う。

 弁護士が手抜きというべきか、いい加減というべきか、そんな訴訟活動をしてデタラメを言っていたのであり、医師は大迷惑のはずだと言う。そういう医師による指摘があることを、後に知った。


 それら引き延ばしの手口の一つとして裁判官忌避がある。

 これも公害訴訟で加害企業側の弁護士にとって常套手段だった。なんと、これを逆に援用して、自分の身内をかばうためデタラメ判決をすると堂々と法廷で宣言し、それで裁判官忌避をされると、引き延ばしだと言って他の裁判官に回さず、自らにされた忌避の申立を自ら却下してしまった裁判官がいた。

 こんなことはザラあることだが、代表的なのは鬼頭季郎という、後に内閣府へ「渡り」をした判事である。その実兄がロッキード事件や宮本顕治身分帳事件で有名な判事補であった。「悪鬼兄弟」と言われていた。


 こうした悪辣な法曹人が跋扈するのは、公害訴訟などで過去に身体を張って努力してきた庶民の闘いを知らない人が多いからだろう。自分もいちおう関心がある方だと自認していたが、まだまだ知らないことが多いと反省している。



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