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予備校の経営不振と『エリート狂走曲』

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年6月15日
  • 読了時間: 2分

 少子化の影響で有名予備校が経営難に至っているそうだ。

 かつてマスコミが「受験戦争」と騒いだことが頂点に達する時期の七十年代後半に、弓月光の『エリート狂走曲』というマンガがヒットした。単行本で全七巻だったし、八十年代に入ってから続編や派生(スピンオフ)の話まで発表されていたから、好評だったことが判る。

 その物語は、小学生にまで及んだ受験戦争に巻き込まれた主人公を巡って、学園ドラマ・ホームドラマ・ラブコメディーが合わさったものだった。


 ここで、主人公が受験戦争で苦労している一方、親の金で将来は安泰だという同級生が出てくる。

 そして彼は、勉強している同級生を尻目にノンビリとマンガを読んでいる。親に金があって、莫大な寄付金を払い込んでくれたから「悪名高い」私立医大の付属に行くと決まっていて、将来は医師になる予定である。これに主人公は「病気になっても、お前のところには行かない」と言い、すると言われた方も「僕も、それが賢明だと思う」と平然と言う。


 その後、中学生になった二人は街で偶然に再会する。

 受験で苦労した甲斐があって中高一貫校に入っていた主人公は、その医大の付属に行った同級生が、今でいうヤンキーたちと一緒に遊びまわっているのを見て驚き、また、そのヤンキーの仲間はみな付属校の同級生たちということに更に驚き、とても医者になるようには見えないと言って呆れる。

 こういうことは、実際に昔からあったことだ。


 もっとも、弓月光作品は基本的にラブコメだ。

 だから、シリアスな題材が出てきても社会派ではなく、甘味を強調するため塩を少し入れるように、ギャグを強調するためリアリズムを沿えていて、その塩梅が絶妙の名人芸であるから非常に面白かったのだ。

 ただ、受験にまつわることはすべて現実にあったことで、パロディも豊富、例えば模擬試験の話で「三谷中塚進学教室」が出てくるけれど、後に高田馬場で「四谷大塚進学教室」を実際に見て笑ってしまったことがある。



 ただ、笑ってばかりもいられないことがある。

 その、勉強せずに親の金で医師になる人は、当時から社会に不安をもたらしていて、それから実際にトンデモ医師がトンデモ診療などをやらかすなど人命にかかわる深刻な問題が起きている。

 また、今も変わっていないのが、不良医学生たちが集団で婦女暴行事件を起こすなどして、それでも金持ちのボンボンたちだからと司法も甘い対応であることだ。

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