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  • 執筆者の写真井上靜

ライアンオニール死去

 俳優ライアン‐オニールの訃報があった。

 『チャーリーズエンジェル』のファラー‐フォーセットと事実婚関係であったことも知られているが、出演作品だとスタンリー‐キューブリック監督の『バリーリンドン』や、ウォルター‐ヒル監督の『ザ・ドライバー』で知られる。


 また、彼は実の娘と共演した『ペーパームーン』で話題だった。

 だから、次に実の息子と共演したいと言った。それは『ロッキー』がヒットしたので往年の名作『チャンプ』を再映画化することになり、オニールに主役の話が来ていたさいのことだった。

 しかし息子役には名子役を出すと決定していたので、息子との共演に拘るオニールは出演の話が壊れてしまった。それで同情したバーバーラ‐ストライサンドが一緒にボクシング映画を撮ろうということで出来たのが『メーンイベント』だった。

 



 あと、大ヒットしたのが『ある愛の詩』だった。

 ここでオニールが扮する主人公は、結婚したばかりなのに妻が不治の病で死亡してしまう、という話であることは周知の通り。

 やはり、幸福な結婚をした若い女性が不治の病、という話の韓国映画が、後にヒットした。『私の頭の中の消しゴム』という奇妙な題のメロドラマで、これは遺伝的に稀にある若年性認知症のことを意味している。同じ題材ではハリウッド映画で主演女優がアカデミー賞の『アリスのままで』が知られている。


 『私の頭の中の消しゴム』で、こんな場面があった。

 妻が風呂上りにバスローブをまとっているのを、夫が開けるから妻は恥ずかしいと言う。しかし裸の身体を見ているのは、全く濡れていないなど風呂に入った形跡がないからだった。これで、妻は風呂に入ったと本気で言っている。そこまで記憶障害がひどくなったのかと夫は深刻そうにする。

 かつて北海道の温泉で、湯船に浸からず脱衣室に戻り「寒い」と言っている人がいて、しかも全裸でロビーに出て行ってしまい、周囲の人たちは驚き、従業員が来ると、方向について「判らない」と言う。一緒に来ていた彼の妻が、高齢ではあるが認知症のような行動は今まで無かったと言って驚いた。

 そんな目撃談を数年前に書いたことがあるけれど、映画と同じことだったのだろう。


 『アリスのままで』の主人公は学者だった。

 そういう知的な人は病気の発見が遅れる傾向だと医師が指摘する場面がある。物忘れに対する対策がしっかりできるので、病気であることに気づかないからだ。先日、来年のノートと手帳や文具の話題を書いたけれど、そういうことにも知的な人ほど熱心だったりするからだろう。

 やはり、知り合いの元学者の女性が八十歳台になってから明らかに認知症の言動が時々あるけれど、その夫も初期は気付かなかったと言っていた。そして北海道の温泉のことについても、前から夫の発症はあっただろうけれど初期段階だったので妻は気付かなかったのだろうと指摘していた。


 ということで、訃報から脱線してしまったが、そんなことを思い出したのだった。

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