パイレーツオブカリビアンのくだらなさ
- 井上靜

- 2022年12月4日
- 読了時間: 2分
映画『パイレーツオブカリビアン』をDVDで観た。
これはヒットしたのでシリーズ化した人気作品だから、知ってはいたけれど、カリブの海賊の話に興味は無かったので無視していた。それを、ちょっと観てみたくなった。それは、知り合いが観て「くだらない」と言っていたのを思い出したからだ。それも「例えば『スパイダーマン』のような、くだらないところが面白い、というのとは違う」と言うことだったからだ。たしかに、そういうバカげた面白さというのはあるし、そもそもカリブの海賊の話では、そうならない。
それで観たところ、ヒットするのは理解できた。

ジョニーデップはカッコよく演じていたし、ディズニーとジェリーさんの製作では、この程度の内容で受けを狙うのは当たり前である。幽霊船の話は『さまよえるオランダ人』と同じで、新味はなく、最近の技術で見せ場が作れるという前提で脚本が書かれたのが観て判るから、その意味ではシッカリ金と手間かけて上手に作っているだけに、むしろつまらない。解りすぎて観ていて退屈してしまう。
そういうところが『スパイダーマン』のようなくだらなさが面白い映画と違うと感じるのだろう。
これは大英帝国の話である。
そこは、無法な海賊たちの所業は秩序を乱す者として描きながら、しかし秩序こそ悪であり、なぜなら盗賊が破壊と暴力で強奪する被害者側が実は合法的に秩序ある収奪をしているからで、大英帝国こそ不道徳な存在である、という主題と結びつけるための設定である。
こういうのは盗賊を主人公とした物語として必須なのだが、そのあたりが一応は感じさせる程度の描かれ方でしかないので、主人公の活躍で痛快さが今一つである。それを特殊技術の進歩による映像で糊塗したような作りだ。
そうしたおかげでヒットしたようなものだから、くだらないと感じるのは自然な感覚だろう。



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