シドニー-ポワチエ死去の報
- 井上靜

- 2022年1月14日
- 読了時間: 2分
米国の俳優シドニー-ポワチエが死去したと報じられた。
90歳台だったが、昔のモノクロ映画で「黒人」初のアカデミー主演男優賞を受けた俳優であったことも訃報で強調されていた。その映画『野のユリ』は、題名が聖書から来ていて、荒れ地で教会建設に勤しむ青年という役どころだったが、これは「白人に尽くす善良な黒人」だと指摘があった。
しかも、これは旅の途中で調子よく乗せられ利用され働くのだが、教会を建設したがっているのは白人のシスターたちで、東ドイツから米国に、共産主義の迫害から信教の自由を求めて来たという設定であった。

同じころのモノクロ映画に『いつか見た青い空』があった。
これは母親の暴力が原因で失明した白人少女を黒人青年が励まし、眼が見えない少女は青年を慕うようになるが、彼は黒人だから駄目だと母親は娘を叱り、そこで青年は少女に自立させようと努力する、という話である。
また、後のカラー映画『夜の大捜査線』では、人種差別が強い米国南部へ都会から捜査の応援に来た警官が、都会の警官ゆえ洗練されていて科学捜査にも詳しいから重宝がられる一方で人種偏見も受けるという話だった。
その後、デンゼル-ワシントンがマルコムXに扮して演説したりするようになった。
しかし、シドニー-ポワチエが活躍しはじめたのは、まさにマルコムXが活躍して暗殺された時代だったのだ。
年配になってからは『ジャッカル』でブルース-ウィリスやリチャード-ギアと共演していたのが印象的であった。脇に回って締めるような演技だったことを憶えている。



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