これでは振り込め詐欺は無くならない
- 井上靜

- 11月19日
- 読了時間: 5分
更新日:11月22日
師走が近づき、また「振り込め詐欺」の季節である。
「振り込め詐欺」の被害に遭うのは老人だと思われているような風潮だけど、そうではない。もちろん、老人に電話をかけて孫などを装い気が動転するような作り話をして、そこに付け込むというのが常套手段だと言われているけれど、それは一部のことである。
それとは違い、暴力による危害を加えると脅迫されての被害もある。どこの誰とも解らない電話だけでは実際に危害を加えられる心配は乏しいが、インターネットや何かしら関係がある人から調べて居住地や家族のことを知っていると言って脅してくるから、恐ろしくなって金を渡してしまう。
これだから、金融機関が注意しても聞かない人が、よくいるのだ。

金融機関に勤める人が言っていた。
いつも、預金を引き出したり送金したりが不自然だと、振り込め詐欺ではないかと注意を促すのが当然のことになっているけれど、それを聞かないから被害に遭う。これは、まさか振り込め詐欺だとは思ってないからとばかりも言えない。そうだと解っていても脅迫されて怖いから、頑なになってしまうのだ。
それなら警察に通報して相談するべきではあるが、現実には警察が相談に乗ってくれない。怪しい電話は相手にするなと言う程度のことなら言うけれど、暴力を示唆した脅迫には、何かあったら通報するようにと言うだけで、それ以外は何もしてくれない。そして被害があってから、やっと警官が出てくる。それも金融機関から通報があった場合で、個人で被害に遭ったという通報をしても構ってくれないことが殆どである。
偽警官による振り込め詐欺も頻発している。
あなたが犯罪に関与している証拠があるとか逮捕状が出ているとか言って脅し、金を返せとか税務署がやっているのと同じ追跡調査をするので預金をここに移せと架空の口座を指定し、それはもちろん死んだ人の遺品の口座などをどこかで入手したものである。
これを弁護士に相談しても、偽の警官ではないかという指摘をしてくれる弁護士は少ない。
弁護士に相談したら、偽警官に従えと言われてしまった人もいる。
警官から非常識なことを言われて人権侵害だと弁護士に相談すると、警察のすることが違法でも泣き寝入りしなさいと言う弁護士が非常に多い。
しかも、表向き「人権派」を装っている弁護士も、そんな対応をすることがよくある。自分は民事が専門で刑事には詳しくないから他の弁護士に相談するように言うならまだマシで、てきとーなことを言って相談に乗った形だけ、という弁護士が圧倒的である。
警官が出てきても対応はてきとーである。
それは、もうかなり前から、深刻な社会問題となっている。例えばストーカーの被害に遭っている女性が警察に相談したら、よくSNSで何かしつこく言って来ているのでブロックしなさいと指示され、そうしたらストーカー男は拒絶されたことで逆ギレして殺意を抱き女性が刃物で襲われてしまった、という事件があった。
この事件、あれだけマスコミでも取り上げられるなど話題になり、警察の対応も批判されたのに、いっこうに改まってない。
これが振り込め詐欺でも同じことになる。
金融機関の通報でやってきた「生活安全課」の警官が、犯人が電話とSNSで脅してきたというのだったら、電話の着信拒否と✕やLINEのブロックをしなさいと言う。
けれど、それでは詐欺に気づかれたと犯人が受け取ってネットのやり取りから追跡されないよう痕跡を消そうとするはずである。まだ被害が無いならともかく、既に被害が発生しているのだから、気づいてないふりをして、その間に捜査するものだと普通なら考える。それなのにブロックしろと言って、従わないと勝手にスマホを取り上げて操作してしまう。
そして後から「刑事課」の警官が捜査しようとしたら、やはり犯人はブロックされていることから警戒して証拠を隠滅してしまっていて、追跡できず、奪われた金は返ってこない、という事態になる。
しかも警察は被害届や告訴状を拒否する。
いちいち対応しているいると大変だからだ。それでわざと捜査できないように証拠をつぶすように仕向けているとしか考えられない。そうでなければ、あんなマヌケなことを本気でするわけがない。
これも実際にあったことだが、家族に危害を加えると脅されて警察に相談しても、被害があってから通報するように言って追い返す。それでは遅いし、加害者の一部が判明している場合だってあるから、脅迫などで追及できるではないかと訴えても、けんもほろろに拒否される。
あのストーカー防止法ができるきっかけになった埼玉県桶川市の跡見女子大生殺害事件でも、すでに違法行為があるので警察に訴えたが対応を拒絶された挙句のことだった。それを言って懸命に訴えても「あの埼玉県警上尾署は論外だった。極めて例外的だ。なので被害届も告訴状も受け取らない。帰りなさい」と冷酷に言われ、それで執拗に続く脅しに屈して大金を払ってしまったという人もいる。
これが振り込め詐欺に対する司法の対応の実態である。
こうした司法の御粗末を知ると、これなら捕まらないということで自分も振り込め詐欺をやろうと思う人だっているはずである。
いっこうに振り込め詐欺が無くならなくて当たり前である。



振り込め詐欺に注意を呼びかけるより、そんなことをすれば必ず捕まるようにすれば振り込め詐欺は絶対に減るのだけど、それはやらない。そして、わざと犯人を逃がす、被害届を受け取らない、という警察の対応では、邪推とばかりも言えませんね。
偽警官は、偽の偽警官。つまり本物の警官ですよ。本物の警察官が偽警官のふりをして振り込め詐欺をやっている。だから警察は捜査しないの。被害届を受け取らないの。