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『ジャズカントリー』の結末

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2021年12月11日
  • 読了時間: 2分

 前回の話題ナット-ヘントフの続き。

 彼の小説で最も有名だった『ジャズカントリー』は、白人の高校生がジャズに興味を持ち、黒人ジャズミュージシャンたちとの交流を通じて人種の問題もからめて音楽の神髄を知る過程を描いているが、最後、認められてジャズミュージシャンたちと一緒に演奏旅行に行きプロを目指すか、それとも合格した大学に入るか、それで迷う。


 それで悩んで色々な人に相談する。

 もちろん、そういうことは自分で決めることだと、皆から言われる。その中で特に、商業的な音楽より自分の訴えかけたい方を選んで貧しいながら好きなことをしている若いトランぺッターの話が興味深い。ところが、そんな彼は警官から偏見をうけ、見ていた主人公は怒って抗議すると警棒で腹を殴られてしまう。

 そのトランぺッターは、こういう社会の現実に対して何かできるかというと、大学に行けば可能性があるけれど、ジャズミュージシャンでは無理だと言う。それがどの程度の影響をしたかは明らかでないが、主人公は一旦、大学に進学する。

 

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 前回は高校の図書室の話題だった。

 参照すれば解るとおり、ヘントフの『ぼくらの国なんだぜ』を図書室の担当教師が、リクエストに応じてくれた。ナット-ヘントフはノースイースタン大学とハーバード大学とソルボンヌ大学に学んでいるが、この図書室の担当教師は東京大学卒であった。ノンポリっぽい人だったが、実は赤門前の立看板を作ったこともあり、その技術を文化祭の時に披露してくれた。出入口の看板を角材とベニヤ板で手際よく作った。

 

 この教師から卒業のさい言われた。

 これから生きにくい時代になりそうだから。「とくに僕や君のような者にとっては」。だから勉強しなさい、と。これは大学の偏差値なんかではなく、ほんとうの勉強を。

 高校の時に最も成績が良かったのが音楽だったから、ということもあるだろう。これは思い出すと情けない話である。音楽の教師には褒められてばかりだったが。そこは普通科だったからだろう、成績は断トツで良かった。


 そんなこともあって『ジャズカントリー』を思い出し再読したのだった。

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