PKディックの世界が現実に
- 井上靜

- 2021年12月30日
- 読了時間: 2分
「アベノマスク」と皮肉られたものが廃棄なのだそうだ。
これは、不良在庫になって保管にかかる倉庫の費用が処分の費用より高額だからというわけだが、つまり配布し終わる前に入手が容易になったからだろう。
まったく、とんだ愚策と元から言われてきたけれど、それがまた証明されたのだ。
その廃棄に数千万円かかるが、保管は数億円と経費十倍だった。
しかし、六億円ともいわれる保管費用をかけるくらいなら、どこかに置いておいて「ご自由にお持ちください」とでもやったら良かったのではないか。そのあたりも含めて、何か変である。
フィリップKディックの小説『偶然世界』では、売れない商品が焼却処分される様子を、多くの人たちが指をくわえて見ている場面がある。
そのように、欲しくても買えないものが廃棄されているといのは、おそらくニューディール政策が作者の念頭にあったのだろうが、そこから更に異常な経済となり、まともな生活をしているのは特権階級だけという世界になっている。
また、ディックの小説でも特に名作の『火星のタイムスリップ』のようになりそうであると言われるのが水道民営化である。

ジョン-ブラナーは、一人で多くの人がディックの小説を読むことで、そこに描かれている世界に住まなくてもよくなる可能性が高まると説いていた。
「未来学者」アルビン-トフラーがコンピューター社会を予言した『未来の衝撃』を基にプラナーが書いた小説『衝撃波を乗り切れ』はイマイチだったが、それより彼がディックの小説について指摘したことは正しいのではないか。



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