- 井上靜

- 2024年12月22日
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更新日:2024年12月22日
先日、まだ生きていたのかと驚き呆れられたナベツネこと渡辺恒雄。
この人は、東京大学を卒業して中央公論社の入社試験を受けたところ、百点満点の四科目で四百点だったそうだ。それで中央公論社の人たちは驚き、全科で満点なんて人に我が社の仕事では役不足だから他のもっと大手に行くべきだと言って丁寧に断ったそうだ。
そして、後に読売新聞の社長になると中央公論社を買収した。

こうして優秀さを発揮した渡辺恒雄。
だが、ほんとうの優秀さだったかは話が別である。まず読売新聞の正月の社説で改憲を説かせ、新憲法草案まで発表した。
これは慶応大学の小林節という法学者から評価されたが、この人は後に自民党に怒って態度が豹変した。これ以外では、法学と報道の両方から批判された。内容の御粗末さと、報道機関にふさわしくないということと。当たり前のことである。
それ以上に、スポーツ新聞も同然の読売新聞では、まともに話題にならないと言われた。実際に最初一部で取り上げられたが、取り上げるのが間違いで、あんなもの批判もせず無視しておけば良かったというくらい、すぐに忘れ去られた。
発行部数が世界一だと誇った渡辺恒雄。
日本一の発行部数ということは世界一の発行部数である。しかし読者の支持ではなく、プロ野球などの宣伝と、強引で暴力的な訪問勧誘で、朝日新聞を抜いたというだけのこと。
しかも、これを自慢したところ、外国のジャーナリストから「そんなの新聞じゃない」と言われた。人口比から発行部数が多すぎて、独自の報道や論調が不可能だ。もともと、これが日本の新聞の問題で、どの新聞も似たり寄ったりだから読んで面白くない。それなのに、強引に発行部数を増やし、そこには広告料金を高くとるための「押し紙」といわれる水増しと押し売りまで(どの大手新聞もやっているが)あるのだから、報道より金儲け、なおさら新聞らしくなくなるどころか、もはや新聞ではない。
これでは本当の影響力があるわけない。
そんなことも解らなかった渡辺恒雄。これでは優秀なようでいて無能というのが実質だ。こんな人なんかより、無名で地味な人々の細々とした努力の方が、はるかに社会に対して本当の意味での影響をしている。まったく無駄な虚しい努力をした渡辺恒雄ということで、一生を棒に振った無様な奴であった。
「勘違いの男ここに眠る」と墓標に記すといい。


