福島県に田母神という地名がある。
住民が一族ばかりなのでその姓が地名になるのと、反対に地名が姓になることがあり、田母神がどちらなのかは不明だが、どちらにしても田舎の場合である。
だから福島県出身の人も田母神という地名は知らない人がいた。読んだ人で憶えている人もいるはずだが、前に雑誌のインタビュー記事を書いた講談師の神田香織氏は、今は住んでいないけれど家系は福島県の出で、しかし田母神という地名があることは知らなかった。こちらは、たまたま他の用で福島県の各地に行ったさいに知った。この話に神田香織氏は、よほどの田舎ではないかと言った。たしかにそうだった。
田母神俊雄もと空幕長は福島県の出身といわれる。
この人は高校まで学校の成績が良く、そんな人なら当地の人はだいたい東北大学に進学するけれど、彼の家はかなり貧乏だったそうで、福島県で貧乏というと他の地方と違い半端ではないから、大学ではなく衣食住の保証つき公務員養成所の大学校を選んだということらしい。
その当時、防衛大は人気が無かったので、そこに成績優秀だった田母神君が入ると、周囲はバカに見えるくらい差があったそうで、それで彼は何かとんでもない勘違いをしたのではないかと言われていた。そういう話は神田香織氏も聞いているとのこと。
前に防衛大卒の御粗末を取り上げた。
東大法学部卒の官僚である柳沢協二もと官房長が自衛隊の「駆け付け警護」について法的な整合性に苦労した成果を語っていたが、そういうことを無視して、田母神俊雄もと空幕長は、国の指示を仰がないといけない現状では駄目で指揮官の判断で行動できるよう憲法改正が必要だと説く。
とんでもないことだ。イラクで無用な戦闘に巻き込まれてやろうと考えていたと平然と公言した「にやけ顔の出世亡者」「ヒゲ隊長」の佐藤もと隊長いま自民党議員なんかが自衛隊の現場指揮やっていたのだから、駄目に決まっている。それに部下の命なんて屁とも思っていないのが防衛大卒の傾向である。
また、田母神俊雄もと空幕長は米国への不信から日本の核武装を説く。
いつもの持論である。また、バイデン大統領が心にもないことを言っていることを挙げて、これも根拠にしている。
だとしても、核兵器は所持するだけでなく政治力が伴わないと有害無益なものだから、北朝鮮がやっているくらいの政治力が要る。かの国は厳しい。米国との緊張があるから当たり前だ。佐藤議員のような存在は許されないし、田母神もと空幕長が選挙に出たさいのような御粗末やらかすと極刑だろう。
つまり日本は無理だ。
ぬるい日本で威勢が良いふりをSNSだけでやるのが精々の自衛隊上層部、それが政界入りを志向して誰もみな品質が悪い。
核武装と自力防衛など夢のまた夢。