- 井上靜

- 2023年7月13日
- 読了時間: 3分
更新日:2023年7月13日
元産経新聞の三枝玄太郎という人がジャニーズ問題で不可解な発言。
ということで話題になっていたが、それは特に不可解ではない。ただ、そう感じる人がいるのは、そうなる事情を知らないのだろう。
もともとは音楽プロデューサーの松尾潔氏の件だった。
彼は、ジャニーズの未成年者性的虐待について、海外の有名メディアにまで取り上げられてしまったのだから、それ相応の対応が必要だという趣旨の発言をしただけなのに、契約していた芸能事務所から期間の途中で契約を一方的に破棄された。
とくに批判的というほどではない発言なのに、商売で縁がある相手方だから、それに少しでも触れたら「不敬」で「一発退場」になったと松尾氏は述べた。

すると松尾氏が共産党の機関紙に登場したことをやり玉にあげる人たち。
その政策に賛同のメッセージを寄せる人たちに名を連ねていることを取り上げて、奇妙な牽強付会をしていた。これに便乗して上記の元産経氏は、この件に関心が強いのは東京新聞の望月衣塑子氏や赤旗社会部長や岩波系の人たちだと述べた。だから何?どんな関係があるの?
しかも、ジャニー喜多川は許せないが、先の連中に「叩いてくれ」と頼んだ覚えはないという、不可解な言葉をSMSで発信したというわけだ。
自分は許せないけど叩いている人たちが気に入らないなら、自分が叩けばいいだけのことだ。
ところがジャニーズを批判する人は左翼や共産党とレッテル貼り。
こうすれば思考停止で不問にできると思っている連中がいる。弱者に対する性加害を黙認しないことに右とか左とか関係あるのだろうか。そういう疑問を持つ人たちがいるけれど、関係ある。
もともと右翼は「すべての人に等しく人権があるというのはとんでもないことで、地位の低いものは地位の高いものに従うべきだから、低い者は不道徳や理不尽も忍従すべき。それが間違いという人は左翼だから否定」という価値観である。
だから山口敬之もとTBS支局長の性犯罪でも、故ジャニー喜多川の未成年者性的虐待でも、倫理・道徳。法律などに違反していても、それを訴えたり批判したりする方が悪いということだ。また、性犯罪以外でも、片山さつき議員の「ひき逃げ」から、医師や弁護士の不祥事まで、「エライ人」は違法行為をしても一般人から批判されたり訴えられたりする筋合いでは無いという居直りが堂々とまかり通って、必ず相手方に「左翼」などの言葉を浴びせて非難するものだ。
そもそも「右翼」の語源から明らかである。
フランスで王党派など封建制・身分制・特権階級の維持に拘る勢力が議会の右翼席に陣取り、これに反対する共和派らが左翼席に陣取ったことから、政治的に右翼・左翼というようになった。
アメリカは封建時代が無いので保守最大の団体が左派の論理によって立つ共和党であるなど右翼イコール保守ではないのに対し、日本は天皇がいるのでフランスの図式が当て嵌まるうえ、保守と右翼は殆ど同義語になっている。
したがって、社会的強者なら性暴力も容認、法の下の平等は否定、というのは右派なら当たり前の発想であり、これに保守派も近い態度で、そんな不平等・不公正は法律にも倫理にも反していると問題にするのは左翼だという発想にもなる。
という次第で、元産経氏らの言うことは不道徳ではあるが不可解ではないのだ。


