- 井上靜
- 1月31日
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更新日:1月31日
かつてフジサンケイグループで、日枝久がクーデターを成功させ鹿内一族を追放した。
すると司馬遼太郎がお祝いの色紙を送ったそうだ。司馬遼太郎は元産経新聞記者で、鹿内信隆が同族経営で企業の私物化をしていると批判していたからだ。
しかし企業の私物化は日枝の体制になっても続き、在野の報道機関でありながら政権与党に媚びたり奉仕したりを、鹿内の時と同様に続けてきた。

あまり知られていないが、日枝は労働運動に熱心で、元共産党員だったとも言われる。
また、鹿内信隆と一緒にフジサンケイグループを作った水野成夫も元共産党員で、共産党の機関紙『赤旗』の初代編集長だったが、権力に弾圧され検挙されると転向した。
また、父子でフジサンケイグループを支配する鹿内信隆と鹿内春雄は、朝鮮の金日成と金正日のようだと言われていた。鹿内春雄は親の七光りとはいえ、低迷していたフジテレビを立て直した。この春雄に目をかけられていたので、日枝は年齢的に早く企業内で地位を得ていた。ところが鹿内春雄が病気で急死し、鹿内信隆は別の親戚を後継者に据えていたところ、日枝久がクーデターを起こして鹿内一族をフジサンケイグループから追放した。
こうしてみると、フジサンケイグループ内の政変は左翼の内ゲバにも見えてくる。
そして、水野成夫は野球ずきで、ヤクルトスワローズの前身の国鉄スワローズを買収してサンケイスワローズにしたが、これは、やはり元共産党員の渡辺恒雄が、読売新聞に入った当時は無関心だった野球に興味を持つと読売ジャイアンツに熱心さを発揮していた、ということと共通するものがある。渡辺恒雄は読売新聞で権力を得るさいスターリン方式で気に入らない社員を粛清し、独裁体制を構築したことは有名である。
つまり、共産主義者は経済に関心が深く知識も豊富だから経営者になれて、政治力もあるから会社の組織内で内部対立を勝ち抜ける、という資質を持ち、それが変節すると優秀で悪い経営者になるということだ。