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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年10月9日
  • 読了時間: 2分

 経済学者の野口悠紀雄氏が述べていた。

 外国オーケストラ公演などが、日本人にとって「高嶺の花」となってしまった。これまでも円安によって日本は貧しくなっていたが、今年3月からの急激な円安からハッキリわかるようになったということだ。

 ただ、オーケストラの出す音を音楽だと勘違いしている、ちょうどこのブログを書いている者ばかりではない。


 だから「高嶺の花」でも良い人だっている。

 よく「ニーズ」と言われるが、その求められるものなのか。関心が全く無い人もいるし、有る人がそれなりに多かったけれど減ってきたこともあるのではないか。コロナウイルス新型肺炎のため出かけるのが消極的になり、人の要る場所を避ける人もいる。

 もともと外国からの来日公演など、興味がない人に雰囲気で乗せて売っていたものだった。


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 また、知り合いの画家が言っていた。

 かつて東欧を旅したら、日本に比べて貧しいという感じがして、たしかに収入は低かったけれど、それだけ物価は安いし、長時間労働ではないし、余暇にはコンサートに気楽に行けて、なぜなら入場料が日本から見るとタダ同然に安いからで、いったい何を以って豊かだと言えるのか考えてしまった、と。


 ところがテレビ朝日『ニュースステーション』は違った。

 あのバブル経済の当時、ただの泡銭なのに、元東京銀行の若林という爺さんがレギュラーで出ていて「サントリーホールで一流の来日公演を聴くなんて、私たち日本人は豊かになったんでしゅね~」と言い、司会の久米宏が東欧の人たちは不幸のドン底なのに対して資本主義の成功例として世界一の日本だから大企業バンザイと煽り、駒沢大の福岡という「政治学者」が、だから無用な平和や福祉を説く政党は国会から排除すべきで、そのための小選挙区制にしようと説くし、スポンサー企業のヤマト運輸の社長が出て郵政民営化を当たり前のことだと自分商売の利益に誘導する公私混同の放送法違反、などなど非常識の極みであった。

 これに釣られた人が多く、しかもそんなのが「非自民」「リベラル」と大いなる勘違いをしてのことで、その結果が今の有様だから、自業自得の日本人である。


 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年8月3日
  • 読了時間: 3分

 ときどき、エアコンから水滴が滴り落ちるのを見ることがある。

 前に、ある飲食店で、飛び散る水滴が服に付いたと客が苦情を言っているのに出くわした。普通は湿気が外部に排出される仕組みになっているけれど、このドレーンが外れていたりすると漏れる。だいたいは室内機のカバーを外して見れば判るのだが、どうしたらいいか知らない人が多い。それで業者を呼んで直してもらうことになるが、異常であると認識してない人も多いから放置ということになる。


 エアコンをつけると室内がかび臭くなることがある。

 これは湿気のためエアコンの内部がカビているからだが、よく対策の洗浄スプレーが売られていて、無駄なのに買ってしまい使う人がいる。エアコンの設定を仕事にしている人によると、水が外部に排出される部分は汚れも一緒になるから必要がないし、そうでない所こそカビと埃が付くけれど、そこにスプレーは届かず、届けようとするならカバーとフラップを外さない駄目で、そうしたなら布やブラシで掃除できてスプレーよりはるかによく汚れが落ちるから意味がない。

 

 それで、今年も自宅のエアコンを分解して掃除した。

 手間のかかる作業だから代行する業者がいるけれど、仕上がりなど不安がある。高くて手抜きの所も実際によくあると聞く。丁寧とか上手とかで作業員の当たり外れもある。自分でやって慣れてしまえば簡単なものだ。障子や襖の張替と同じで、せっかく慣れたのだから誰かにやってあげたくなるものだ。サイドビジネスとしてやってみようかとも思ったりする。

 よく、エアコンのフィルター掃除をしなければいけないと思ってはいるが、億劫でやっていないという主婦がいる。簡単なフィルター掃除でさえこれでは、分解掃除など想像を絶することだろう。


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 マイナーメーカーのエアコンを買って困ったことがあった。

 かつて住んでいた場所が、壁に穴をあけては駄目という大家だったので、窓用のクーラーにするしかなかった。ウインドエアコンは非効率だが値段が比較的安い。ところが、買ってすぐに故障してしまった。それでメーカーに電話して修理を依頼したら、たくさんの故障があったうえ人手が少ないから、今は七月の上旬だが修理に行けるのは八月の末になるというふざけた回答だった。買ったばかりのクーラーが故障して夏が終わりそうなころまで治らないということだ。

 このため奨められて買ったデパートに苦情の電話をかけた。そのメーカーは地方の町工場で、その販売を引き受けたが、故障は多く人手は足りないという小さい会社の問題が最悪の形で露呈したのだ。それでデパートは他の業者に委託して修理の対応をしていた。もうこんなメーカーとは取引しないと怒って。もちろん大企業も元は町工場ということがある。そこから発展するまでが大変なのだが、それが駄目だったわけだ。そのさいデパートの従業員が言った。デパートも、だから安心という時代ではなくなったそうだ。だから零細で力のない業者と組んだりもしてしまう。そういう時代に入った時期であった。

 そんなことを、暑い夏には思い出す。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年6月9日
  • 読了時間: 2分

更新日:2022年6月16日

 ファミレスの『すかいらーく』が5分未満の切り捨て賃金支払いへとの報道。

 賃金の支払いが5分単位から1分単位に変わり、「ガスト」「バーミヤン」などで、切り捨て賃金を支払い、過去2年分を約9万人が対象として、パートらへ16億円になるという。

これは、アルバイトの男性が、団体交渉で支払いを求めてきた結果である。


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 ほんの少しだけでも、大勢の従業員の総計となれば、会社としては相当の金額になる。

 しかし、数分をケチって「塵も積もれば山となる」というのはセコイし、会社の経営に決定的な影響というわけではないのだから、頑張っているバート従業員をねぎらうのが当然ではないか。

 それに、この種の外食産業は、他の業種では務まらない無能な正社員を、大勢の学生バイトや主婦パートらが支えているのが実態なのだから。


 かつて、自分が高校~大学でバイトした当時は無茶苦茶だった。

 交渉や闘争によって規制を変更して改善するというレベルの話ではなかった。決められたことを守らないのが当たり前だったのだ。

 例えば、業務に必要不可欠なことは勤務時間として有給にしなければならないのに、必ず着る制服に着替えることなどの準備はもちろん、業務内容の研修ビデオを見せられることが勤務時間外とされていた。こうして準備万端となってからやっとタイムカード押してよく、いつも30分程度の早出のタダ働きから一時間程度のサービス残業なんて、どこのファミレスでも(他の業種でも)常識だった。


 しかし、努力することで世の中が少しは良くなることもある。これはその証左だ。

 
 
 
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