- 井上靜

- 2021年7月13日
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もう、かなり前のことになるが、殺虫剤のアース製薬は、同業者の製品に特許権を侵害されたとして法的措置を取り、これを報じた朝日新聞が、経済や司法ではなく社会面の記事にしたからだろう「アースが生んだ特許を侵害」という駄洒落の見出しだった。
この駄洒落はアース製薬も既にCМに利用していて、「♬アース~が生んだ~正義のマグマ~」という歌とともに、お笑い芸人の笑福亭鶴瓶が「マグマ大使」に扮していた。
この「マグマ大使」は、手塚治虫のアニメが円谷プロの『ウルトラQ』の裏番組となって人気と視聴率のどちらも惨敗したので、それなら特撮で、ということだったらしい。
手塚治虫の息子も、成人したら怪奇映画専門みたいな映画監督になるくらいだから、父の意向を無視して『ウルトラQ』」を観ていて、手塚治虫は悔しかったようだ。
そして作られた『マグマ大使』は、手塚治虫の漫画に基づいてはいるが原作とは大きく異なる内容になっていて、観た手塚治虫は全然違うと言っていたそうだ。しかし主題歌を作曲した山本直純は、ダメ元での依頼だったが、手塚治虫の漫画のファンだから快諾したと言う。
この、パイロット版といわれる制作会社がテレビ局に売り込むための試作映像では、俳優が顔を金色に塗って演じていた。誰なのか不明だが、けっこう男前だった。
ただ本放送の「マグマ大使」は、金色の面を被っていて無表情だった。アクションの撮影で汗をかいたり皮膚が赤っぽくなったりするためだったと言われている。
実は、高校生の頃に、一学年下の女子から「マグマ大使先輩」と呼ばれていた。その面に顔が似ているそうで、他の人たちからも「お前の顔を金色に塗ったら、そうなる」と言われた。

あと、これは冗談ではなく、小さいころに『マグマ大使』をテレビで見ていて、ノイローゼ気味になったことがある。
それは第9話のこと。マグマ大使を呼ぶ少年(江木敏夫)の母親が敵に拉致されてしまい、化けた偽物が家に来る。少年は母親の様子が変だと思う。偽の母は、少年が超音波の笛でマグマ大使を呼んでいることを突き止め、悪役の元締め(ゴア)に報告する。少年が気づくと偽の母は正体を現し、これが奇怪な姿の怪物で、少年の父親(岡田真澄)は自家用車でひき殺そうとするが逃げられる。
こうして、少年の母親は20話まで行方不明になる。演じる俳優が他に出演している映画や舞台の事情などから、降板ではなく一時的に出なくなると、よく行方不明や外国出張という展開になるので、その類だと思われる。
しかし、これを観た小さい頃に、自分の母親も偽物ではないかと本気で疑っていた。実際、姿は同じでも別人格になることが、よくあるからだ。ずっと後になって、あれは統合失調症の前触れだったと理解した。
前の東京オリンピックで、難易度の高い技を「ウルトラC」と呼んだので、それにちなんで「とてつもない謎」ということで『ウルトラQ』という題名にしたそうだが、それを今回の悲惨な東京オリンピックで思い出し、そこから『マグマ大使』に関わる色々な思い出も蘇ったという次第である。


