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​炬火 Die Fackel 

更新日:2024年6月20日

 高校二年生の時、人間ドックに入ったことがある。

 そんなもの17歳では無用だが、異常が一つ見つかった。しかし、他は看護師や医師が、他の年配の人たちの画像と比較して見せ、いかに健康かというのを目の当たりにした。こんなに健康なのに体調が実に悪いのはなぜか。

 それが検査したら判明したのだ。


 未成年飲酒が原因であった。

 そうでもないと、十代では考えられない。しかし、酒好きの未成年飲酒する者なら結構いるもので、たまに店に集まって飲んでいる不良たちのため店が営業停止の行政処分を受けることがあるけれど、そんなふうに飲んだ者は将来に健康被害が出るとしても直ちに影響は無いものである。なぜなら美味しく楽しく飲んでいるからだ。

 そうではなく自棄酒だったら酷いことになる。


 つまり自棄酒の未成年飲酒のため肝臓を傷めていたのだ。

 それで医師は、肝臓は回復する臓器だから大丈夫だけど、とにかく未成年飲酒しかも自棄酒は止めなさいと言った。ただ、自棄酒ということは家庭で何かあったのではないかと、当然ながら医師は気づいて指摘した。

 もちろん、家庭は無茶苦茶だった。それで親戚のところに身を寄せた話は著書の中で述べたことがある。


 家庭と学校とが車輪の両軸であった。

 色々なことが沢山あって、こんな学校は退学したいと言ったけれど親はサッパリ理解できなかった。それで二重に悩んだ。

 このうちの一つを思い出したのが今の高校生を見たときである。女子高生が通学で背負っているナップザックにバッチを付けていることがあり、それらは女の子らしく可愛い絵柄である。

 これと同じようにバッチを付けていたところ、それがピースマークバッチ(元は核軍縮の意味だった)で、多少の意識はあったけれどファッションの感覚も多分にあった、という程度のことなのに、学校で教師たちから止めろと言われた。政治的なものを付けて持ち込むなというわけだ。



 これは一例でしかない。

 他にも何から何まで同じ調子だったから、退学しないと潰されてしまうと思った。ジャス評論家で公民権運動にも熱心だったナットヘントフのジュブナイル小説『この学校にいたら狂っちゃうよ』である。それでヘントフの『ペシャンコにされてもへこたれないぞ!』『ぼくらの国なんだぜ』をせっせと読んだが、それでも七十年代のアメリカとは大違いの日本それも自分が通っている高校、という現実を新たな認識させられるだけであった。


 それで今の高校生はどうなのかと考える。

 その時々で違うし、個人でも違うに決まっている。また、入学から卒業までマスクしていたから同級生の顔をろくに知らないという人もいる。

 「♪いい時代じゃないと囁きかける人たち。ぼくたちは今この時代しか知らない」と渡辺美里が唄っていた。その通りだ。

 余談だが、これは彼女が自分で作詞し、曲は小室ではなく木根だった。なぜか美里は作詞すると一人称でしばしば「ぼく」を使う。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2024年6月14日
  • 読了時間: 2分

 過日「いただき女子」と称する女性が詐欺で有罪となった。

 この人は、前に風俗店で働いていた時に金で逼迫する事情があり、これに同情した客が30万円くれたことから、それなら嘘で困っていることにして男性に同情させて金をもらうことを思いつき、複数の男性から合計して一億円を超える額を騙し取ったうえ、そのやり方を手口マニュアルとしてインターネット上で販売までした。

 それで詐欺と幇助で逮捕されたということだった。



 しばらくしたら映画の題材になりそうだ。

 いままでにも『毒婦高橋おでん』とか、男性の結婚詐欺師だと『クヒオ大佐』とか、実在の詐欺師をモデルにした映画は何度も作られていて、勝手な脚色で面白おかしく描いていることが大体であった。

 それで、この「いただき女子」は、どのように材料として料理されるだろうか。


 それにしても刑罰が重すぎると言われている。

 これでは殺人犯なみの懲役で、被告人は愕然としたそうだ。男性が被害で、加害者が女性だったからではないかとも言われている。

 また、騙された方も下心があったから悪いし、あるいは同情から騙されてやったという側面もあるのではないか、ということで、厳しすぎると批判があったのだ。

 この弁護側は、生い立ちの不遇さから転落して行ったことで情状酌量を求めていた。


 もともと、このように同情させて騙す詐欺はあった。

 そして、女性の場合、子供が病気で金に困っているとか嘘をつく。これに騙された男性が、それでも病気の子供は居なかったのだから良かったと言ったりする心情も解かる。同性でも、例えば名作『アルジャーノンに花束を』で、主人公の知り合った女性が、困っている十代の女の子を自室に泊めてやったら金を持ち去られるという恩を仇で返すことをされたけれど、自分だってお金にゆとりは無いけれど、あの子も困っていたのだろうと寛容なことを言う場面があった。


 しかし、騙した者の背後関係があって、やらされていたとしたら。

 あの統一協会なんかが、よくやっていたことだ。かつて自分の母親が、統一協会は悪いと知ってはいたけれど、黙されて信者になっちゃったのだからと同情して、壺は買わないけれど幾ばくかの寄付をしてやっていた。そんなことをしたら、統一協会の組織から「もっとやれ」と言われてしまうじゃないかと注意しても解らなかったので呆れた思い出がある。

 つまり騙すも騙されるも「どっちもどっち」なのである。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2024年6月13日
  • 読了時間: 2分

 コロナウイルス新型肺炎のため人の出入りが減っていた。

 このことと相関関係があると思われる一つに、妊娠中絶があるという医師がいた。一時は減少していたのに、また人の出入りが戻ってきたら、これに連れて増加してきたという。

 ありそうな話である。


 それとは違い、夫婦の間で不本意な妊娠となる人たちもいるそうだ。

 同じ医師によると、それで結局は五回も中絶した女性がいて、これは男女の力関係が影響していると思われると説いていた。

 では、それでも一緒にいるのは何故かという疑問も出る。好きだからしょうがないというなら、他人が注意しても駄目だろう。



 あのベンジャミンスポック医師も著書で説いていた。

 彼は育児書と反核運動で有名だったが、もともとの専門は精神科だった。その見地から性の問題を考察した著書もあり、それによると、夫婦によっては、普通なら酷いDVが愛撫し合う前戯のようなものになっているということだ。

 かつて人気俳優の唐沢寿明が、自分の親について著書で告白していた。彼が高校生の時に家出したのは実の母親から出て行けと言われたからで、その原因とは父親の暴力に抗議したことだった。父親に母親が殴られているのを息子が止めたら、息子は母親から出て行けと言われてしまったそうだ。


 妊娠中絶ではないが、似たようなことは自分の親にもあった。

 自分の母親は流産をくり返したので、体調が良くなるまで妊娠を避けるように医師から言われていたが、それでもまた妊娠と流産をするから、医師は夫も連れて来るように言い、そこで夫婦一緒に指導したのだが、駄目だった。

 そして六回も妊娠と流産をくり返し、その辛い思いについて後に母親は子供に八つ当たりしていた。夫婦のことで子供に当たる母親は珍しくないが、自分の生命に関わることで配慮しない夫と別れないのは、それでも好きで一緒にいたかったということだ。


 この現実があるから、性差別を無くして男女平等にと言っても難しいのだ。


 
 
 
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