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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年7月14日
  • 読了時間: 2分

 オウム真理教事件の当時、筑波大学の学生は就職活動で困ったと言う。

 なぜなら筑波大学は怪しい宗教団体の魔窟のような印象を持たれてきたからだ。福田信之学長の専制支配により、学内での諸活動は禁圧され、大学当局による統制が強まることで抑圧的になることを批判するさいの「筑波化」という言葉まで出来たほどだった。ところが例外は統一教会で、特別扱いされていた。福田学長は統一教会の熱烈なシンパだった。

 だから、オウム真理教に一流大卒の信者がいてヤバイことをしていたということから、オウム教事件があってからは筑波大の学生に対して疑心暗鬼なる人がいて、学生は就職活動のさい苦労させられたというわけだ。


 もともと福田信之という人は、本業では実績のない物理学者だった。

 そして同窓生から「ヘァツ」と言われていた。理工学用語でドイツ語を使うから、そこで「性格が悪い」を婉曲に「心」と言うのを、エナジーではなくエネルギーというのと同じでハートではなくヘアツ(Herz)と言ったのだそうだ。

 そんなヘアツの人が勝手に出来たのも政治情勢の影響があったからだ。


 80年代には学生運動が衰退した代わりに怪しい宗教活動が活発になる。

 その意味で筑波大学は最先端だったが、全国の大学で統一教会の「原理研」が跋扈した。おかげで宗教系のサークルは勧誘のポスターに「原理研・統一教会とは関係がありません」と断り書きするほどだった。

 この当時は統一教会と密接な中曾根首相だったことも影響している。この人に比べれば安倍首相は祖父の岸首相から引き継いだだけだから熱心さでは劣る。


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 80年代は、テレビでも店内でも松田聖子の歌が聴こえていた時代だった。

 松田聖子の大ヒット曲の数々は80年代の象徴だった。この一方、大学では原理研が活発だった。

 そして、長生きした中曾根元首相は老衰で死去したあと、松田聖子が元夫と一緒に愛娘の位牌と遺骨を持って記者会見し、この翌年には統一教会に家庭崩壊の恨みを持つ元自衛官の男が安倍元首相を殺すという事件が起きた。

 こうして80年代は後味が悪い結末となったのだった。

 
 
 

更新日:2022年7月12日

 オウム真理教事件の当時、教団の信者でもある顧問弁護士がテレビで怒っていた。

 批判するさい統一教会を引き合いに出した人がいたから「統一教会なんかと一緒にしないでください」と。ところが、この弁護士は別の番組で、教団施設がある山梨県上九一色村で反オウムの先頭に立つ人(その当時けっこう年配だったのに最近も健在であったと伝えられた)について「あの人は日本共産党員だ」と言い出した。

 実際に、この人は日本共産党員であると公言し、オウム真理教事件でマスコミから反オウム活動の旗手として取り上げられたことで有名になると、選挙で共産党のチラシ広告に登場して広告塔の役目をしていた。

 それで、オウム真理教を批判するのは共産党員だから、と言うことだ。つまり、統一教会なんかと一緒にするなと怒っているけど、一緒だったということ。統一教会は、霊感商法など反社会的活動が問題になるたび、批判しているのは共産党だと言っていた。


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 かつて統一教会は「天皇拝跪」の内部告発が騒ぎになっていた。

 この教団の教祖である文鮮明(ムン=ソンミョン)はキリスト(救世主)の再来であるから世界で一番偉い人であるとして、アメリカでは教団の米国支部長が合衆国大統領に成り代わり平伏す儀式をするなど各国で同じことをしていた。だから日本では統一教会の日本支部長が天皇に成り代わり韓国人の教祖に平伏す儀式を執り行っていた。

 この内部告発が『文芸春秋』に掲載されると、読んだ日本の右翼関係者は驚き激怒した。当たり前だ。しかし、その後も自民党の政治家たちは、選挙で組織票を集めてくれるので腐れ縁を続けていた。


 その内部告発で騒動になったら、統一教会は共産党の陰謀だと言っていた。

 まったく、共産党が文芸春秋に内部告発を掲載させるという荒唐無稽さには誰でも呆れるだろうが、だいたい宗教団体は、こんな調子である。創価学会だって幸福の科学だって同じである。

 もともと、宗教団体は日本の赤化を防止するため利用されてきた。これは戦前からで、創価学会の前身である創価教育学会を創設した牧口常三郎が特高警察の弾圧に協力していたことは昔から『文春』などで報じられてきた。戦後になると米国の占領政策という形で引き継がれた。

 だから、反共であれば宗教団体はやりたい放題で、違法行為があっても警察は手が出せないし、さらに税制の優遇を利用して組織を拡大し、選挙で自民党に協力してきた。これを利用してオウム真理教も勢力を拡大したのだ。


 そういうことが続けられてきたあげくの安倍元首相殺害事件ということだ。

 
 
 

更新日:2022年5月26日

 先日、防衛医大の学生とスピリチュアルで知り合った話を取り上げた。

 詳しくは拙書『防衛医大…』を読んで欲しいが、オウム真理教事件のさい、なんで高学歴の人たちがと騒がれたけれど、そんなのはザラで、宗教系の大学より理系学部の人がカルト宗教やスピリチュアルに強い関心をもっている、ということだった。


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 ところが、そういうことに実感が沸かない人がいるのも現実である。

 かつてコロナウイルスによる新型肺炎の記事を雑誌に書いたさい、信仰で病気が治ると言っている人たちの話について、編集部が勘違いして「病は気から」という意味に書き変えてしまい、そうではなく深刻な病気だからこそ信仰に頼る人がいて、現代の医学では助からないので「溺れる者は藁をもつかむ」で宗教に頼るだけでなく、スピリチュアル(音楽の霊歌ではない心霊)になると現代科学よりも優れている超越したものと考えているのだと説明し、その説明を加えたうえでゲラから原稿の記述に戻してもらったことがある。


 映画『復活の日』にも描かれていた。

 この、軍事開発されたウイルスが漏れて新型の流行性感冒が世界に破滅をもたらす、という小松左京の小説が原作のSF映画は、今、コロナウイルス新型肺炎のため思い出す人が多い。

 この劇中、世界が大混乱するなか、日本では祈禱師が患者を集めて呪いの儀式をしているという場面がある。


 メディスンには薬と呪いの意味がある。

 それで、この映画の製作者の角川春樹氏は、宗教儀式に薬物はつきものだといって手下の者に密輸させたから刑務所に入るはめになってしまった。

 彼の父の角川源義は岩波書店の岩波茂雄のような人だったから、それとは違うことをすると言って息子は映画製作に乗り出し、原作本とタイアップして売る手法で話題になった。文庫本に付いている栞を映画館で提示すると入場料が割引というのはグッドアイデアだ。このため『復活の日』は、SFのハヤカワから出ていたが譲渡してもらい角川文庫を出版していた。


 角川春樹は父親が出ているからと國學院大学に入っている。

 ところが、彼は早稲田大学の入試に受かっていた。早稲田の学生で半分くらいは国立大の入試に落ちた人だと言われる。そんな人たちのせいで早稲田に入りたかったのにはみ出してしまった人たちが明治大学の学生の半分くらいと言われる。それで明治に入れなくなった人が國學院の何割かを占めていると言われていた。

 それなのに、あえて父親と同じ大学に入った有名人だから、國學院大は角川春樹を有難がっていた。しかし逮捕されて、その原因が宗教に薬物を使うためということだったので、宗教大学としては大迷惑だった。


 先述の雑誌の編集長は国立大卒だった。

 それで、宗教大卒より縁遠かったのかもしれない。宗教にのめり込んでいる人たちについて、そこまで本気だとは思わなかったのだろう。それはそれで結構なことだ。そんな宗教に関わらないでいられることは幸運であるから。


 さて先日、互助会の勧誘を受けた。

 そのさい、パンフレットを見たら、葬儀とか斎場の費用も対象であると謳っていた。ただ、その従業員も、コロナウイルスによる新型肺炎のことは心配であると言っていた。葬儀と斎場どころか、昔のSF映画みたいにブルドーザーが集めた死体の山を火炎放射器で焼いている怖い場面みたいなことになってしまう前に解決してほしい、と。


 
 
 
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