- 井上靜

- 2022年4月11日
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更新日:2022年4月11日
自由民主党のジリノフスキー党首が死去したそうだ。
この人もウラジーミルである。レーニン、プーチン、ホロビッツ、アシュケナージらと同様に。彼はコロナウイルス感染し、この影響で身体が弱っていたらしい。彼が中心になり結成した自由民主党は日本の自由民主党と区別するため日本のマスコミでは「ロシア自民党」と表記されていた。

この人の学歴は「モスクワ大学夜間部卒」だった。
モスクワ国立大学(略してモスクワ大と記載される)は、日本では東京大学である。首都の国立大だから(日本で言うなら偏差値で)国一番の大学である。二番目は旧首都の大学であるペテルブルグ国立大学である。日本なら京都大学だ。レニングラード大とかペトログラード大とか街の名称が変わるので大学名も合わせて変わっていたが、それはロシアの旧首都であるからで、今は二番目だが伝統があるからレーニンとかストラビンスキーとか有名人が卒業生にいる。
同地の出身であるプーチン大統領もペテルブルグ大卒である。
彼は少年時代に活劇で諜報部員に憧れてKGBの庁舎に行き職員に声をかけて訊ねたら、国の要職だから一流大の法学部を出るべきだと言われたそうだ。日本でいう国立大の法学部を出て官庁に就職ということだ。メドジェーエフ前大統領もペテルブルグ大卒だ。
モスクワ大を出ているのはゴルバチョフ大統領やサハロフ博士である。
ここに夜間部があることは、ジリノフスキー党首が卒業生ということによってよく知られるようになった。東京大学には無い。東京都立大(現首都大学東京)にはあって、前に職場に勤労学生がいて、その人は地方から出てきて勤めながら都立大に通っていた。学費がタダ同然であるから、それを知った留学生が入りたがったけれど競争率が激しく高いので諦めた。
ロシア自民党は極右政党と呼ばれる。
しかしジリノフスキー党首は中道政党であると言っていた。NATO軍のユーゴスラヴィア攻撃の時、日本ではJリーグで活躍していたストイコビッチ選手が抗議したことで知られる事件だったが、ロシアではエリツィン大統領が激怒していて、ジリノフスキー党首は義勇兵を送ろうと息巻いていた。セルビア戦争の再現のようだった。最近セルビアの首都ベオグラードでウクライナ攻撃を支持する市民が大規模デモ行進したことには、こうした背景もある。
ジリノフスキー党首は、90年代に日本のテレビに出て「北海道はロシアの領土だ」と主張していた。
今、ロシアの政界に日本牽制論が出ていて、「北海道ロシア領」の主張をしている。ジリノフスキー党首の主張は、アイヌ民族と最初に交流していたのはロシアであり、後から日本が北海道を侵略して先住民アイヌを迫害したというものだった。
この論理と、今のウクライナ攻撃は少数民族迫害が起きたためだという論理に、共通するものがある。それでのことだろう。しかしウタリ民族運動の萱野茂氏(二風谷アイヌ資料館)が旧社会党から国会議員になったので、野党とはいえ少数民族が代表を国政の場に出したことがあるから、ロシアの主張に反論が少しはできる。
その点、中国はもともと少数民族に必ず議席を与える枠を人民代表大会に作っている。チベットは宗教弾圧を言われるが、あそこもウクライナと同様にナチスとの関係が言われている。それも中国の念頭にあって今の外交姿勢なのだろう。そして、中国は少数民族を尊重していると評価されていたが、同時に外国からの介入を防ぐのに役立っているわけだ。なんとも老獪というか狡猾というかでは偏差値が高い。


